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スマホゲームでも快進撃のBTS ゲームとリアルの垣根を越える韓国K-POP

2019年7月22日(月)18時20分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


TWICEのモモが自ら『TWICE -GO! GO! Fightin'-』をプレイする動画(動画の4分ごろから) (c) NAVER VLIVE

もちろんこれまでにもアイドル育成ゲームは数多く存在した。そのなかでも、今回のように実在のアイドルや声優を育成できるゲームも意外とたくさん作られている。K-POPだけに限ってもみても、日本人メンバーの3人含まれている人気アイドルグループTWICEは『TWICE -GO! GO! Fightin'-』というゲームアプリを出している。これは、ゲームのプレーヤーがTWICEの10人目のメンバーとなって悪と戦うストーリーで、育成ではなくシミュレーションの要素を含むパズルゲームといった感じだろう。

また、今回とは逆に人気ゲームから飛び出して実際にK-POPアイドル活動が始まるパターンでいえば『THE IDOLM@STER.KR』が頭に浮かぶ。アイドルマスターシリーズといえばバンダイナムコエンターテインメントから発売されている人気育成シミュレーションゲームだ。2005年に1作目が発売されて以来20作を超えるシリーズが展開している。基本的には自分がプロデューサーとなりアイドルを育てるストーリーである。

その仕組みをK-POPに移し替え、ドラマとしてコンテンツ化した『THE IDOLM@STER.KR』は、韓国の芸能界を舞台に繰り広げられる青春ドラマ劇になっている。主人公のマラソン選手のスジは、双子でアイドルだったスアを不慮の事故で亡くしてしまう。その1年後、選手をやめてしまったスジはスアが叶えられなかった夢を自分が叶えるためにアイドルとなる......という、いかにも韓国ドラマらしいストーリー展開となっている。2017年から韓国SBS系列で全24話放送されたが、放送開始の1年前からキャストオーディションが行われ、ドラマ内で結成されたアイドルグループは、その後、同じ名前で実際にK-POPアイドル「Real Girls Project」として劇中と同じ名前でデビューしている。メンバーは日本、韓国、タイの女の子10人構成で、日本からは寺本來可(てらもとゆきか)が参加している。彼女は、このグループのほかに、YUKIKA名義でソロでも活動も行っている。


Real Girls Projectとして出演した番組で、バラエティの才能を見せるYUKIKA。 ARIRANG K-POP / YouTube

このように、育成ゲーム自体は今までも多く存在した。しかし「BTS WORLD」は、現実世界とゲームのシミュレーション世界を今まで以上にぐっと近づけることに成功した。今まで雲の上の存在だったアイドルたちが、いつでもスマホを通し、ポケットに入れて持ち運べるのだ。「BTS WORLD」が引き続きヒットすれば、この世界とリンクできるもっとさまざまな可能性をもったゲームが、世界規模で人気の歌手や俳優を起用し増えてくるだろう。K-POPは、若者たちにこれまでの韓国のイメージを一新させるのにひと役買っていたが、これからはそこにアプリというツールを加えることでさらに新しい表現やコミュニケーションを実現していくだろう。

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