最新記事
音楽

ビートルズゆかりの地を巡る、日本初の「使える」旅行記を作った

2018年9月7日(金)16時55分
藤本国彦

思わぬ縁といえば、ポール・マッカートニーが今年の6月と7月にリヴァプールを久しぶりに訪れ、ペニー・レインやポールが63年まで住んでいた自宅に行っただけでなく、フィルハーモニック・ダイニング・ルームやキャヴァーン・クラブでもライヴを披露した。いずれも昨年足を運んだところばかりだ。

しかも12月にはリヴァプールとロンドンでライヴも行なう(その前に日本にも来ますね)。まるで「本書を片手にイギリスに行くように!」とポールが言ってくれているかのようなものだ(と、すごく都合のいい、まったくもって身勝手な解釈...)。9月7日に出る新作『エジプト・ステーション』収録曲のプロモーション・ヴィデオもリヴァプールで撮影したようなので、本書の増補・改訂版が出た暁には(?)、その撮影場所も「ゆかりの地」として加わることになるかもしれない。

...と、つらつらと書いてきたが、日本どころか世界でも皆無と言っていいのが、本書に掲載された、ビートルズマニアの辻野良晃氏による4点の地図だ。見開きで掲載されたその地図には、ロンドンとリヴァプールの主要なゆかりの地がほぼすべて掲載されている。しかも遊び心も加えて、である。

ぜひ、その地図を眺め、ゆかりの地の解説を読みながら、12月にイギリスで行なわれるポールのライヴを楽しんでいただければ、と願っている。

bealtesbook180907-2.jpg

『ビートルズはここで生まれた 聖地巡礼 from London to Liverpool』137ページより。写真キャプションは「すんごい大きさだったビートルズ像。やっぱりジョージがいいね」


77 ビートルズ像
The Beatles Statue
Pier Head,Liverpool,L3 1BY

 アルバート・ドックに隣接しているピア・ヘッドは、リヴァプールにある埠頭のひとつ。「スリー・グレイシズ(美をつかさどる3女神)」と呼ばれる、産業革命以降の繁栄を今に伝える3つの建物「ロイヤル・ライバー・ビルディング」「キュナード・ビルディング」「ポート・オブ・リヴァプール・ビルディング(ドック・ビルディング)」がそびえ立ち、2004年には「リヴァプール海商都市」の名称でユネスコ世界遺産に登録された。フェリー乗り場や「ビートルズ・ストーリー」の別館もあるここピア・ヘッドに、2015年12月4日、ビートルズ4人の大きな銅像がお目見えした。これは、エンパイア・シアターでのビートルズのイギリス最終公演から50周年を記念したもので、ジョンの妹ジュリア・ベアードによって除幕式が行なわれた。"63年のビートルズ"をイメージして作られたこの銅像の作者は、彫刻家アンディ・エドワーズ。キャヴァーン・クラブを運営するキャヴァーン・シティ・ツアーズから委託され、20万ポンドの製作費をかけた1.2トンにも及ぶこの像は、リヴァプール市に寄贈され、リヴァプールの新たな観光スポットとして人気を集めている。(137ページより)


『ビートルズはここで生まれた 聖地巡礼 from London to Liverpool』
 藤本国彦 著
 CCCメディアハウス

藤本国彦
1961年東京生まれ。1991年(株)音楽出版社に入社し、CDジャーナル編集部に所属(2011年に退社)。2015年にフリーとなり、ビートルズ関連書籍の編集・執筆や、東京・アップリンク渋谷でのトーク・イベント、名古屋・栄中日文化センターでの講座などビートルズの関連事業を手掛ける。主な編著は『ビートルズ213曲全ガイド』、『ビートルズ・ストーリー』シリーズ、井上ジェイ著『ビートルズUK盤コンプリート・ガイド』、鈴木惣一朗著『マッカートニー・ミュージック』、朝日順子著『ビートルズは何を歌っているのか?』(以上、音楽出版社)など。映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years』の字幕監修(ピーター・ホンマ氏と共同)も担当。

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中