最新記事

映画

スター・ウォーズ 映画公開3カ月以上も前に仕掛ける秘策

2017年9月6日(水)11時53分
藤原宏成(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

おもちゃも新技術で進化

変わったのはプロモーションだけではない。商品も進化している。スター・ウォーズ関連ではライトセーバーやフィギュアなどおもちゃが多いが、そこにARなどの新技術を取り入れた商品を増やす。

今回の映画にはBB-8の悪役版ともいえる新型ロボット、「BB-9E」が登場する。白とオレンジが基調の「8」と違い、「9E」は黒が基調で目は真っ赤。その8や9Eをスマホアプリによって操作するラジコン型のおもちゃでは、ARで銀河の冒険を体験できる。

toyokeizai170906-3.jpg

一斉に販売が始まった関連商品。手前が「BB-8」「BB-9E」のリモコン型おもちゃ(記者撮影)

コンピュータメーカーのレノボ社とはARゲームキットでコラボした。ヘッド・マウント・ディスプレイを装着し、ARによって表示されたスター・ウォーズのキャラクターとライトセーバーで戦うことができる。

日本でのスター・ウォーズ関連商品の売り上げは、前回の映画公開前後に大きく膨れ上がり、その後一服していた。ただ、雑貨やファッションなどの新分野や地方の伝統工芸メーカーとのタイアップなど、商品の幅を着実に広げ、売り上げは再度上向いている。

そしてこれらの関連商品は、映画公開に向けてその世界観を知ってもらい、体感してもらうための重要な"先導役"でもある。

米ウォルト・ディズニーの「総合力」

映画公開の3カ月以上も前から関連商品を投入することについて、スカルポーネ氏は「12月の映画公開に向けて、登場するキャラクターやこれまでのストーリーをもっと多くの人に知ってもらいたい。商品販売はいわばその第1弾。今後もさまざまな仕掛けを準備している」と語る。

ここで生かされるのが、米ウォルト・ディズニーの総合力だ。ディズニーは日本ではテーマパーク運営や映画製作で有名だが、テレビやCATVの放送事業、ライセンスを活用した商品開発や、「ディズニーストア」の運営なども手掛ける。

まず関連商品を投入、映像コンテンツの配信によって少しずつストーリーを紹介する。場合によっては関連ゲームの投入や、テーマパークでイベントを開くこともできる。こうしてあらゆる方面からスター・ウォーズの認知を上げたうえで、映画公開につなげる。

「Force Friday」は単なる映画公開前のイベントに見えるが、実はそこにディズニーのさまざまな仕掛けが散りばめられている。そしてそれは、ディズニーの持つ総合力ゆえに可能なのだ。

toyokeizai170906-4.jpg

イベントにはタレントのデーブ・スペクターさんも登場。店頭には撮影スポットとして巨大パッケージディズプレーが展示される(記者撮影)

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アルセロール、今年の世界鉄鋼需要予測を下方修正 米

ワールド

香港小売売上高、6月は前年比+0.7% 2カ月連続

ビジネス

午前の日経平均は反落、半導体株安が重し 売り一巡後

ワールド

マクロスコープ:ガソリン減税に現実味、モノの価格抑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中