最新記事

世界遺産

熱海と大差ない、「世界一美しい」アマルフィ海岸

2015年7月27日(月)16時30分

世界で一番美しい海岸?

 アマルフィの中心に着くと、砂浜はすぐ近くです。といっても、砂浜は猫の額ほどしかありません。この半島にあるビーチは、どこもかしこも小さいものばかり。こんな小さなビーチでは満足できません。

 ビーチのすぐそばまで迫る山の斜面には、家々が立ち並んでいます。弧を描くビーチを見下ろす家並みが、きっと美しい海岸といわれている所以なのでしょうが、ワタクシは思ったのです――熱海にそっくりだ、と。そうです、伊豆半島の由緒ある観光地、あの熱海です。後ろは山で目の前は海。斜面に強引に建てられた家々。洋風建築と和風建築の違いはあるにせよ、俯瞰で見れば、ほぼ一緒。大きな差があるようには思えません。

こちら、我らが日本の誇る熱海の風景。アマルフィといわれてもわからないのでは?

こちら、我らが日本の誇る熱海の風景。アマルフィといわれてもわからないのでは?

 アマルフィの街に入るとすぐに、代表的な建造物であるアマルフィ大聖堂があります。イタリアにある他の大聖堂とは違い、さまざまな建築様式が混在した珍しい形をしています。教会好きな方や建築関係の方には一見の価値があるかもしれません。しかし、アマルフィ・ショックに打ちのめされたワタクシを奈落の底から救い出すには力不足です。

旅にコスパを求めるならば

 アマルフィ海岸は世界遺産ですが、それよりも「世界一美しい海岸」として脚光を浴びています。それを聞く度に「本当か?」と疑問が浮かんでしまいます。だって、言ったのはヘラクレスですよ?もちろん、強い日差しに青い空と海、切り立った崖、立ち並ぶ建物......この景色を美しいと思ったって異は唱えません。ただ、この程度なら、わざわざイタリアに来なくても、熱海でよくないか? とも思ってしまうわけです。世界遺産を訪れる、ということ自体が目当てでない限り。

 旅行には、お金も時間もかかります。できれば、かけたお金と時間に見合った感動を得たいものです。そういう意味でアマルフィは、あまりコストパフォーマンスが良いとはいえなかったのです。なにしろ、このあと再び2時間バスに揺られて、さらに電車で1時間。ナポリに戻ってきたときには、もう夜遅くでした。ちょっと魔がさしてイタリアの熱海に立ち寄っただけなのに......。日本の熱海なら、東京から新幹線で50分ですよ!

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン首相が辞任の可能性示唆、妻の汚職疑惑巡り裁

ビジネス

米国株式市場=まちまち、好業績に期待 利回り上昇は

ビジネス

フォード、第2四半期利益が予想上回る ハイブリッド

ビジネス

NY外為市場=ドル一時155円台前半、介入の兆候を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中