最新記事

論争

ヒラリーもサンドバーグも「男より弱気」は本当か?

2015年7月8日(水)18時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 私自身、謙虚に仕事に向き合っていたつもりでも、男性からはそんなふうに見られていたことに衝撃を受けたんです。そんなときにこの自信論争の記事を読んで驚きました。「私と同じように感じる女性がアメリカにもいるのか」と。

五百田 この本について、友人知人に話をすると、「それは本当にアメリカの話?」と聞き返されることが多かったんです。日本人から見ると、アメリカ人の多くは強い自信をもっているように見える、というのが大方の意見だと思います。

 僕も以前はそのように感じていましたが、自信論争の記事を読んだときに、仕事に対する女性の苦悩はアメリカもまったく同じだなと思いました。

自信の男女差 本を題材に語り合う心理カウンセラーの五百田達成氏(左)と翻訳者の田坂苑子氏

自信の男女差 本を題材に語り合う心理カウンセラーの五百田達成氏(左)と翻訳者の田坂苑子氏

――心理カウンセラーから見て、やはり自信のない女性は多い?

五百田 キャリアカウンセリングをする中で、女性たちと話をしていると、「自信がない」という声は大変多いです。

「そもそも自信とは何か」という疑問に本書は答えてくれています。自信は、精神的安定や幸福にとって必要なだけでなく、行動、そして決断まで網羅するものだと。ただ、「自信」といっしょくたにしてしまいがちだけど、カウンセリング用語にも「自己効力」というものがあり、これまで私は、イコール自信だと解釈していました。自己効力を高めるためには、「どんどん行動して失敗して、自信をつけよう」などとアドバイスしていたものです。

 ニュアンスの違うポジティブな性質をもつ言葉があることを指摘している点は、カウンセラーとして非常に参考になりました。

 たとえば「自尊感情」は、自分は愛すべき存在で、人間として価値があると信じさせてくれるもの。「楽観主義」は、物事に対する自分の見方・解釈の問題。「自慈心」は、自分に対して優しくあろうという考え方。「自己効力感」は、ある事柄を成し遂げる能力があると思える信念のことで、「習得できる楽観主義」とも言えるそうです。

 この日本社会において、女性は自信を身につけにくい環境にあります。21世紀になっても相変わらず、会社では男性は我がもの顔で歩き、女性ははじっこを歩かされる中で一生懸命に働く。働き過ぎてメンタルを崩したり、弱っているところをタチの悪い男性につけこまれたり......という悪い循環にはまっていく人が多い。

 男性が思っているよりずっと、女性は自信をもてない環境にあるのです。

――では、男性は自信をもっていると言える?

五百田 男性は単に、自信がなくても、自信があるように振る舞うことに慣れているのでしょう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、中国との食用油取引打ち切り検討

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米中通商懸念が再燃

ビジネス

米ボストン連銀総裁、追加利下げ支持を再表明 雇用リ

ビジネス

米経済「想定より幾分堅調」の公算、雇用は弱含み=F
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中