最新記事

映画

スピルバーグ的ゴジラの成功術

テーマも演出もキャラ作りも巨匠のヒット作を思わせる新生『GODZILLA』

2014年6月23日(月)15時38分
フォレスト・ウィックマン

オマージュ ゴジラが登場するタイミングにもスピルバーグの影響が見える   © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. & Legendary Pictures Productions LLC

 映像作家のアンソニー・トロンベッタは『GODZILLA ゴジラ』の予告編音声に、スティーブン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』の映像を重ねた。『ジョジラ』のタイトルで発表されたこの動画、映像と音が意外なほどマッチしていて面白い。予告編音声に『ジュラシック・パーク』の映像をかぶせた動画もある。

 こうしたマッシュアップに違和感がないのには、理由がある。5月16日に全米公開された『GODZILLA』は言うまでもなく、54年の本多猪四郎監督による『ゴジラ』から始まったシリーズの最新作。だがその本質はスピルバーグ映画のクローンであり、『ジョーズ』や『未知との遭遇』のDNAを分析し、再構築したものだ。

 この手の映画の成否は、怪獣が初めて全貌を現すシーンに懸かっている。その瞬間、観客が恐怖に息をのまなければ、怪物級の失敗作ということだ。

 今回、ゴジラが登場するのは上映開始から約60分後。『ジョーズ』の人食いザメは62分、『ジュラシック・パーク』のティラノサウルスは64分後だった。

 観客のじらし方も似ている。上映開始から1時間、海上には人食いザメよろしく、ゴジラの背びれがちらちらと見えるだけ。ギャレス・エドワーズ監督もこの演出は『ジョーズ』をヒントにしたと認めた。

 スピルバーグ作品との共通点は、ほかにも山ほどある。エドワーズと脚本のマックス・ボレンスタインによれば、主人公フォード(アーロン・テイラージョンソン)とその父ジョー(ブライアン・クランストン)の名字「ブロディ」は、『ジョーズ』のブロディ警察署長から取ったものだ。

『未知との遭遇』との類似点

 もっとも、ジョーのキャラクターは『未知との遭遇』の主人公ロイに近い。2人とも発電所に勤める技術者で、謎の停電の原因究明に取りつかれる。停電中に不思議な出来事に遭遇したのをきっかけに言動がおかしくなり、突飛な仮説を組み立てて家庭内で孤立する。

 その後に繰り広げられる息子との葛藤は、やはりスピルバーグ作品の定番テーマだ(『宇宙戦争』『インディ・ジョーンズ』シリーズなど)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシア黒海の石油ターミナルなどに長距離

ワールド

カナダ、国産兵器調達を70%に引き上げへ 米依存か

ビジネス

米住宅建設業者指数、2月は36に低下 購入しやすさ

ビジネス

米ワーナー、パラマウントに1週間の交渉期間 上積み
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中