最新記事

話題作

フェースブック、偽りの秘話

世界最大のSNS創業の舞台裏を赤裸々に描いた『ソーシャル・ネットワーク』の演出と創作の境界線

2011年1月7日(金)12時58分
ルーク・オブライエン(ジャーナリスト)

誕生物語 冴えないコンピュータマニアのザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ、左)はいかにして成功を収めたか(1月15日公開)© 2010 Columbia TriStar Marketing Group, Inc. All Rights Reserved.

 映画『ソーシャル・ネットワーク』の全米公開を前に、脚本を担当したアーロン・ソーキンは、ハーバード大学の大学新聞ハーバード・クリムゾンにこう語った──デービッド・フィンチャー監督と自分は「真実と細部をとことん突き詰めた」。

 映画のテーマは、世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、フェースブックの創業の舞台裏。「真実と細部」にこだわった証拠に、主人公である創業者マーク・ザッカーバーグが「7年前の10月のある火曜日の夜に飲んだビールの銘柄」を調べ上げたと、ソーキンは胸を張った。

 しかし、このビールの銘柄(ちなみに「ベックス」だった)はグーグルで検索すれば簡単に判明する。「真実と細部をとことん突き詰めた」というほどのことではない。

 一方、ニューヨーク誌に対してソーキンは、これとは異なるこだわりを語っている。「真実に忠誠を誓うつもりはない。物語を紡ぐという行為に忠誠を誓いたい」

 映画を見る限り、2つ目の発言がソーキンの本音であることは明らか。複数の人物の視点を通じて1つの真実を描き出そうとする点で、この映画は黒澤明の『羅生門』と比較されている。

 しかしフィンチャーとソーキンは、1つの出来事に関して対立する複数の視点を示すにとどまっていない。現実の出来事を基に、「架空の現実」をつくり上げているのだ。...本文続く

──ここから先は1月5日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年1月12日号をご覧ください。
<デジタル版のご購入はこちら
<iPad版、iPhone版のご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

併せて
■「ライバルが語る裁判と双子とモテ」もどうぞ
 ハーバード大学時代にアイデアを盗まれたとしてザッカーバーグを訴えていて、映画のモデルにもなった元エリート学生へのインタビューです。
<最新号の目次はこちら

[2011年1月12日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン国際航空、地元企業連合が落札 来年4月か

ビジネス

中国、外資優遇の対象拡大 先進製造業やハイテクなど

ワールド

リビア軍参謀総長ら搭乗機、墜落前に緊急着陸要請 8

ビジネス

台湾中銀、取引序盤の米ドル売り制限をさらに緩和=ト
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中