最新記事
BOOKS

じっくり読むほど染みる...元東方神起のジェジュンが紹介し、イ・チョンアが朗読した美学者の散文集

2025年4月17日(木)17時30分
キム・ジニョン(哲学者・美学者)
朝のコーヒー

入院する朝、コーヒーを飲む(画像はイメージです):youleks_pixabay

<余命を知ったとき、残りの日々をどう生きるか。日常がシャッターを下ろすように中断されると知った時に......残ったのは「愛」だった>

ノーベル賞作家ハン・ガン氏が「しばらく外国にいたとき、この本を1日いちど、3回読んだ。毎日読んでもいい本」と紹介した散文集『朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』』(小笠原藤子訳、CEメディアハウス)は、韓国の哲学アカデミー代表も務めた美学者キム・ジニョン氏による遺作だ。

韓国では、元東方神起のジェジュン氏が「No. 107」の頁をインスタライブで紹介した他、俳優のイ・チョンア氏が朗読するなど、共感が広がっている。病に冒され余命を知ったキム氏が、亡くなる3日前までの日々を記録した本書より一部取り上げる。(全3回のうち2回目/1回目はこちら

◇ ◇ ◇

46

入院する朝、ベランダでコーヒーを飲み、こっそりタバコを一本吸う。美味しい。景色は曇っている。人々は駅に急ぎ足で向かう。世界の日常は無事だ。その無事の中にファクトが存在する。

ファクトとは厳酷な刃。正確で冷酷だ。この刃の無情さにわたしは記録を挑む。記録は愛である。愛は希望である。ふと青いバスが風景の中に入り込み、停留所に停まる。それから去っていく。『カフカの日記』が正解だ。

「あらゆるものは来ては去り、また来る」

52

想像もしなかった人生が目の前にある。
これとどう向き合うのか。

55

「先生はいま非常事態ですよ、そんなふうに悲しんだり落ち込んだりする時間はありません」と彼はわたしを追い込む。彼は正しい。わたしは存在の底に到着したのだ。単独者(*)になった。本質的に他者性の存在になったのだ。もうわたしの生をひとりで抱えなければならない。

それにしても、わたしはこんなに重かったか。

(*)... セーレン・キルケゴール(1813〜1855)により打ち出された存在のあり方。個人の存在や主体性を尊重する。キリスト教的神の前で、たった一人自己と向き合う者が単独者であり、個人の内面的な探求や自己実現の象徴としている。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「キューバは崩壊寸前」、軍事介入不要との

ワールド

安保理、ベネズエラ大統領拘束の正当性焦点 米は責任

ビジネス

エアバス、25年は793機納入 通年目標を達成=ブ

ワールド

スイスのバー火災、犠牲者全40人の身元確認 半数超
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中