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働き方

若者の現在と10年後の未来:働き方編(後編)──「不公平感の是正」に期待薄でも、女性ほど変革を求めている

2020年6月5日(金)16時16分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

つまり、年齢が高いほど、また、男性より女性で変化が進むと考えている。これは、前述の通り、そもそも若者の持つ基準が全体と比べて高水準(変化の進んだ状態)にあることに加えて、女性では、働く女性が増えているとはいえ、依然として男性中心である現在の就労環境に対して、変革を求めているということなのかもしれない。先の女性のライフコース分析において、20~50歳代の女性では、年代によらず、結婚・出産後も仕事と家庭を両立したいという希望が最も多くなっていた。

おわりに──アフターコロナはデジタルと非デジタルのバランスの最適化、慣習や評価制度にも影響


近年、「女性の活躍推進」や「働き方改革」が進められてきた。しかし、本稿で見た通り、制度面では進むべき方向へ進んでいるものの、実際には制度を使いにくい、長時間働ける人が評価されやすいといったギャップがあり、若者では、その認識がやや強かった。

現在の緊急事態下では、特にテレワークなどの「就労環境の整備」の面で「働き方改革」の舵を大きく切らざるを得ない状況が広がっている。新型コロナ終息後、アフターコロナは、まず、自社にとって最適なデジタルと非デジタルのバランスを探ることから始まる。

制度に加えて、就労環境も変わることで、自ずと、終業直後は帰りにくいといった慣習も変わっていくだろう。さらに、オフィスに滞在する時間が減れば、長時間働ける人が評価されやすいといった評価制度の面でも変革が期待できるだろう。

新型コロナの影響で収入が激減した業種や雇用形態もある中で、今回の事態を「働き方改革」を進める良い機会とは言い難い。しかし、この不安ばかりの事態を、何らかの意味のある方向へとつなげたい。

Kuga_Profile.jpeg[執筆者]
久我 尚子
ニッセイ基礎研究所
生活研究部 主任研究員

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