最新記事

キャリア

最も使える人脈は「友達の友達」 異業種交流会より同窓会に行け

2019年2月1日(金)17時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Rawpixel-iStock.

<仕事で何かあると、身近な人に相談するか、インターネットに頼るという人が多いが、それよりも遠い知り合いや昔の友人に連絡を取るほうがいい。同窓会、前職の元同僚、SNSの「知り合いかも?」......。人と人とのネットワークは科学でここまで分かった>

「大切なのは何を知っているかではなく、誰を知っているかだ」――ビジネスの世界で古くからそう言われているように、「人脈」は成功に不可欠な要素だ。LINEやフェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどを駆使して、より幅広い人脈を築こうと奮闘している人も多いだろう。

だが、単純に人とのつながりを増やすことが、成功する確実な方法ではないという。物理的に多くの人を知っているだけでは目覚ましい成果を挙げることはできず、それどころか、企業や業界のリーダーとのコネが多い人でも最後には勝てない、という研究者もいる。

『ビジネスで使えるのは「友達の友達」――「冬眠人脈」の底知れぬ力』(デビッド・バーカス著、矢羽野薫・雨海弘美・服部真琴訳、CCCメディアハウス)は、人と人とのネットワークを科学的に解き明かすことで、自分にとって最も価値のあるつながりとは何かを教えてくれる。

確かに人脈は重要だが、交流会やパーティーに参加して名刺を配るような人脈作りは自分には向いていない......そう感じている人にとって、本書は朗報となるばかりか、ネットワーク戦略の大きな秘密兵器を授けてくれる。

「自分が誰を知っているか」以上に「彼らが誰を知っているか」

TEDの人気スピーカーでもある著者のデビッド・バーカスは、米オーラル・ロバーツ大学経営学部の准教授で、専門はリーダーシップとイノベーションだ。

イギリスのコンサルティング会社が2年ごとに発表している経営思想家ランキング「Thinkers50」(「経営思想界のアカデミー賞」とも言われる)では、2015年に、ビジネスの未来を形作る可能性が最も大きい新進思想リーダーの1人に選ばれている。

書名からも分かるように、本書を通じて著者が説くのは「友達の友達」の重要性だ。決して「友達」ではない。マーク・ザッカーバーグをはじめとする成功者たちは、そうした「弱いつながり」を戦略的に駆使しているという。それはなぜか。なぜ、親友はビジネスで最も使えない存在なのか。

人脈というのは、名刺の束やアドレス帳に入っている連絡先の数ではない。コンピューターのネットワークと同じように、人間のネットワークも、人と人との「つながりの地図」だ。だからこそ、「自分が誰を知っているか」以上に「彼らが誰を知っているか」が成功のカギになる。

例えば、ハーバード大学の社会学者が行った就職(転職)活動に関する調査によると、「現在の仕事につながる情報をもたらしてくれたのは誰か」という質問に対して、「友人ではなく知り合いだ」と答えた人が多かったという。

より具体的な調査によれば、その相手とどれくらいの頻度で会っていたかについて、最も多かった回答は「ときどき(年1回以上、週2回以下)」(55%強)で、その次が「たまに(年1回以下)」(27%強)。「頻繁(少なくとも週2回)」に会っていたという人は17%未満にとどまっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ワールド

ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44

ビジネス

スウェーデン中銀、26年中は政策金利を1.75%に

ビジネス

中国、来年はより積極的なマクロ政策推進へ 習主席が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中