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「肩書のない人になりたい」はあちゅうの原点となった1冊

2019年1月9日(水)11時20分
今井順梨

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Newsweek Japan

肩書きのない「はあちゅう」になりたい

はあちゅうさんは20歳のときにはすでに人気ブロガーとして、多くの人の目に晒されている自分を意識していたと語る。しかし当時は同時に、大きな不安を抱えていたそうだ。


18歳のときにブログで注目を浴びてからずっとSNSで発信をしていたので、人からどう見られるかということも気になっていましたが、それ以上に自分の将来に大きな不安がありました。

若さって底知れぬ武器でもあるので、「若さが失われたら私には何も残らないのではないか、今がピークでこの先は下がっていくだけではないか」という恐怖と、「もうすぐ社会に出なくてはならないんだ」というプレッシャーによるストレスを抱えていた時期でもあったんです。

漠然と広告や映像など、コンテンツに関わる仕事に就きたいなと思っていましたけど、仕事の実態を理解しているというよりは感覚的な部分だったり、あとは他者から見たときの見栄えで志望していたような気がします。

でも、実際に社会に出てみたら、思っていた以上に前向きで楽しいことが多くて。大学時代はお金を払って学んでいたようなことが、周りの方から無料で学べてお金も頂ける。すごくお得な環境に飛び込めたので、「年を重ねるのは面白い」と考えが変わりました。

そうして年を重ねてきたはあちゅうさんだが、今は自分の活動についてどう考えているのか。ブロガーや作家などさまざまな呼ばれ方をしているが、彼女自身は肩書きのない「はあちゅう」を目指しているという。


例えば、ビートたけしさんやリリー・フランキーさんを誰かに説明するときに、「タレント」「作家」「映画監督」といった肩書きは不要だと思うんです。彼らは肩書きに収まらない活動をしているので、むしろ肩書きは邪魔というか。

それに、肩書きというのは知名度のなさを補足するものだと思うので、「はあちゅう」と聞いて「あ、いろいろやってる人だよね」って分かってくれる人が増えたら、すごく嬉しい。個人名が先に出るようになるのは、個人ブランディングの到達点だと思うので。

2017年には電通時代に先輩から受けたハラスメント被害を告発し、2018年7月にはAV男優との事実婚を自ら公表した。常に新しい話題を提供するような発信を続けているが、そこには「こうすれば皆がびっくりするだろう」という計算や工夫があるのだろうか。それとも、思ったことを思った通りに表現しているに過ぎないのか。


素と工夫の両面でやってると思います。思ってもいないことは口にしませんが、伝わりやすく、印象に残る表現を考えて発信するようにしています。

あとは投稿する場所によって、内容や語尾を変えています。(複数の)SNSを連動させて同じことを投稿している方もいますが、変えたほうがいいと思うんです。

とつぶやいたように、SNSにはそれぞれの世界観があって、それぞれに住む人の世界観が違います。インスタグラムを見ている人がツイッターを見ていなかったり、その逆もあります。

SNSでは相手と繋がりたいという意志が必要です。だから(どのSNSでも同じ内容を投稿する)連動は、そこにいる人にどう伝わるかの努力をしていないのと同じだと思います。

また、同じことを発信しても本では共感されるのに、SNSでは炎上するなんてこともあって。インターネットのように無料で誰でも見られるメディアは、想定していない読者に届くこともあるので、思いもよらないトラブルを招くことがありますね。

【参考記事】試作すらせずに、新商品の売れ行きを事前リサーチするには?(ティナ・シーリグ 日本特別セミナー)

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