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【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち

2025年12月21日(日)11時50分
印南敦史 (作家、書評家)

「私は重い荷物を背負っている。38歳の息子です」

本書でもさまざまな声が明らかにされているが、特に印象的だったのは、大人になってからひきこもった子を抱えた親である。原因は、ブラック企業での過酷な勤務だったという。


「私は重い荷物を背負っている。それは38歳になる息子です。息子は仕事を辞めて家にひきこもっている。息子が働いてくれないから、私は仕事を辞められない。(37ページより)

こう話すCさん(65)はホテルの配膳スタッフの派遣会社に所属しており、都内の複数のホテルで週に3〜4日ほど働いている。政党の資金パーティー、企業の祝賀会、結婚式、授賞式など、500〜1000人規模のパーティーを担当することが多いそうだ。

ベテランとして頼りにされており、時給は1800円。かつては都内で飲食店を経営し、料理人を雇って、自身は接客を担当して店を切り盛りしていた。ところが20年ほど前に経営が悪化したため店を料理人に譲り、自身は経営から身を引いたのだという。

その後は、接客の経験を生かしてホテルの宴会場で働き続けているわけだ。「60歳を過ぎてこの仕事をしているのは、みんなワケありな連中ですよ。私と同じでね」と語るが、仕事は当然ながら肉体労働だ。


「朝9時に集合して、宴会場の設営から始めます。私は慣れているから、ホテルの責任者から会場の配置図を渡されると、椅子やテーブルを並べるところからバイトの連中に指示を出します」(39ページより)

だが、宴会用の丸テーブルを100卓以上運び込み、椅子を並べるのは楽ではない。引越し業者がやるような肉体労働で、シニアにとってはかなりの負担となるはずだ。

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