最新記事
BOOKS

【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち

2025年12月21日(日)11時50分
印南敦史 (作家、書評家)
シニア労働者たちの実態

「私は重い荷物を背負っている。38歳の息子です」と語った人もいるシニア労働者たちの実態とは(写真は本文と関係ありません) MAHATHIR MOHD YASIN-shutterstock

<21人の「シニア労働者」インタビューから浮かび上がる、それぞれの働く理由、現場に隠された問題>

先日のこと。近所の工事現場前で警備員に「何ができるんですか?」と声をかけてみた。とてもいい方だったのだが、話しかけてよかったと思いながら気づいたことがあった。
『ルポ 過労シニア』
その人だけでなく、別の日に通った電気工事中の道で誘導してくれた警備員も、いつもショッピングモールを掃除している男性も、朝早くにメール便を届けてくれる女性も、考えてみればみんな70代くらいだったのだ。

そういう人たちが働く姿に違和感を抱くこともなかったのだが、『ルポ 過労シニア』(若月澪子・著、朝日新書)を読んだ結果、「日常的な光景になった」で終わらせてはいけないと改めて感じた。だいいち、年齢的には私だってシニアの領域にいるのだ。ひとごとではない。

さまざまな環境で生きる21人の「シニア労働者(働く高齢者)」へのインタビュー取材をまとめたノンフィクション。各人がどのような動機で働き、仕事をどのように捉え、シニア労働の現場にどのような問題が隠されているかを、インタビューを通じて明らかにしているのである。


 今の日本の労働現場におけるシニア労働者の立ち位置は、女性や外国人労働者と同等、あるいはそれ以下の極めて低い地位にある。シニアには仕事の選択肢が少なく、賃金は低く、そして健康不安を抱えながら働く人も多い。それでも彼らが働くのはなぜなのか。(「はじめに」より)

経済的な事情だったり、自己表現のためだったり、働く理由は多種多様だ。気持ちとは裏腹に、働きたくても仕事が選べないという壁もある。だが、それでも働かないわけにはいかないという人は決して少なくない。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国主席、トランプ氏と電話会談 プーチン氏とも直前

ワールド

米イラン協議、6日にオマーンで実施=ISNA

ワールド

米、重要鉱物価格の下限設定制度を構築へ=副大統領

ビジネス

米1月ADP民間雇用、2.2万人増 市場予想下回る
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 7
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 8
    戦争の瀬戸際の米国とイラン、トランプがまだ引き金…
  • 9
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 10
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中