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【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...かつての王者インテルは復活できるのか?

2025年11月11日(火)06時15分
朋川雅紀(個人投資家・ファンドマネジャー)

さらにAIの分野では、インテルは、エヌビディアはもちろん、AMDにも大きく後れを取っています。

インテルは今後数年間、PCやサーバーのCPUの市場リーダーであり続けるかもしれません。しかし、半導体の生産において苦しい立場であるため、最盛期は過ぎ去ったと言わざるを得ません。

インテルがTSMCに追いつこうとするのは正しい戦略かもしれませんが、その実現には多くの困難が待ち受けています。仮に成功したとしても、競合他社もまた、10年前にインテルが圧倒的な強さを誇っていた頃よりもさらに強くなるでしょう。

エヌビディアとの提携が未来への一歩になるか

こうした現状の中で発表されたのが、エヌビディアとの提携でした。なかでも同社による出資は、業績の悪化が続いている当面の事業継続に対する懸念を払拭するものとなることが期待され、インテルの経営再建(再生ストーリー)に向けた重要な一歩として捉えられています。

インテルが描く強気シナリオは、プロダクト事業基盤を強化しつつ外部支援を得て、ファウンドリ事業の健全性を確保する、というものです。

エヌビディアとの関係が強化されれば、将来的にインテルのファウンドリを、主要ではないにせよ製造パートナーとして検討する可能性も出てきます。インテルにとって、エヌビディアとの協業は今後の成長機会を大きく広げる一手になるかもしれません。

[筆者]
朋川雅紀(ともかわ・まさき)/個人投資家・ファンドマネジャー
大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。

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