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【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...かつての王者インテルは復活できるのか?

2025年11月11日(火)06時15分
朋川雅紀(個人投資家・ファンドマネジャー)

インテルの第二の強みは、「x86命令セット」の支配力にありました。これはPCの歴史のほぼ全期間にわたる標準でした。マイクロソフトの「Windows」はインテルのx86プロセッサを前提に開発されたため、事実上全てのPCハードウェアがx86プロセッサで動作することが保証されていました。

半導体メーカーのAMD<AMD>はx86のライセンスを取得しましたが、数十年にわたり、インテルに何かあった時の保険としての二番手の地位に甘んじており、インテルが圧倒してきたのです。

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インテルの現在地──最盛期は過ぎ去った

しかしながら、インテルの売上は2022年以降大きく減少し、2024年には赤字に転落しました。

この業績悪化は、製造上の課題と新製造プロセスへの多額の投資に起因しています。インテルが新しい技術ロードマップを完璧に実行した場合、将来的には競争力を取り戻す可能性はありますが、成功の保証はなく、できたとしてかなり先になることでしょう。

インテルの半導体設計チームは、主にCPUを中心としたプロセッサ設計において数十年の経験を有しており、それだけを見れば十分に競争力があると考えられます。

その一方、現在の半導体製造事業は、コスト面・技術面で不利な立場にあると見られています。世界最大のファウンドリである台湾のTSMC<TSM>に主導権を奪われ、その逆風が、インテルの半導体設計の専門性がもたらす競争力の足を引っ張っている状況です。

近年、AMDはTSMCとの緊密な提携を通して、PCとサーバーCPUの両分野でインテルに対する競争力を向上させました。仮にインテルが製造ロードマップを復活させたとしても、AMDが市場から後退することはないと見られています。

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