インフレで4割が「貯蓄ゼロ」、ゴールドマン・サックスが警告する老後資金危機
Number of Americans Living Paycheck to Paycheck Soars
モノもサービスも値上がり(写真はカリフォルニア州パサデナのスーパー、8月3日)REUTERS/Mario Anzuoni
<住宅、育児、医療...日々の支払いに追われるアメリカ人には、貯蓄の余裕がなくなっている>
インフレと支出の「渦」に巻き込まれ、アメリカ人の退職後に向けた貯蓄能力が低下し、日々の生活にも追われる人が増えている──。ゴールドマン・サックスの最新の調査から明らかになった。
「退職の新たな経済学」と題されたこのレポートによると、現在アメリカ人のおよそ40%が「貯蓄なし」で「ギリギリの生活」を送っており、1997年の31%から大幅に増加している。この層の約74%は、「他に優先すべき支出があるため、退職後のための貯蓄ができない」と回答している。
ゴールドマン・サックスは、生活費にも事欠くアメリカ人の割合が2033年には55%、2043年には65%に達する可能性があると予測している。
この報告書は、経済的困難に直面するアメリカ人が増加していることを示す数ある調査のひとつにすぎない。8月に発表されたPNC銀行の調査でも、アメリカの労働者の67%が「ギリギリの生活」をしており、2024年の63%から上昇している。
ゴールドマン・サックスの分析によれば、家計逼迫の原因は生活必需品のコスト上昇にある。それが貯蓄の余裕を奪い、老後の経済リスクを高めているという。






