金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因とは...金相場はまだ上がる? それとも下がる?
Gold Price Hits Record High—What It Says About US Economy
金相場はどうなるのか?
FRBが9月中旬、利下げに踏み切るとの見方がほぼ確実視されており、それも金への追い風となっている。
利下げは国債のような利回り資産の魅力を相対的に減らす一方、金のような無利息資産の魅力を高める。米国の先物取引所運営会社、CMEグループが提供するCMEフェドウォッチによれば、9月に0.25ポイントの利下げが行われる可能性は98%に達している。
「金の強さは、投資家がFRBの次の一手に備え、不確実な環境下でリスク管理を行っている証拠だ」と、ロンドンに拠点を置く金市場における非営利シンクタンク、ワールド・ゴールド・カウンシルの北米担当上級市場ストラテジスト、ジョセフ・カヴァトーニは語った。
「その焦点は分散投資にある。関税やドル安も金の強さの要因ではあるが、より重要なのは、投資家が安全資産へとシフトしているという点だ」
専門家たちによれば、最近の金価格の上昇は、他国の中央銀行による買いが大きく寄与している。特に東アジア、ヨーロッパ、中東の中央銀行が、米国債の保有を削減し、その分を金に振り向けているという。
米タフツ大学の国際経済学教授、マイケル・クラインは、各国の中央銀行がトランプ政権下のアメリカ情勢を鑑みて、ドル建て資産を大量に保有することに対して警戒感を強めていると指摘。ドルの代わりに、より信頼できる金を選んでいると分析する。
トランプの内政・通商政策は、アメリカ経済の安定性とその運営に対する懸念を背景に、国外の資金をさらに金市場へと向かわせている。
専門家の間では、現時点で金の上昇基調を崩すような材料はほとんど見当たらず、年内は3500ドル超の水準を維持するとの見通しが優勢だ。

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