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米国と中国で販売低迷の「高級ブランド業界」を支える市場は? リスクあるが「長期的には底堅い」

2025年6月28日(土)16時52分

中東地域は旅行支出の重要拠点で、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)やアジアの富裕層が大挙してやって来る。また、高級ブランド事業ではインドの富裕層をたぐり寄せる玄関口の役割も果たしている。インドは輸入関税率が高いためで、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)などの企業はインド店舗網の拡大を控えている。

旅行者向け小売事業を展開するゲブル・ハイネマンは最近、サウジアラビアに進出した。紅海沿岸都市ジッダの空港では高級品ブランドを扱うファッション小売店を営業している。マックス・ハイネマン共同最高経営責任者(CEO)は、中東地域の旅行市場は不安定な情勢にもかかわらず、長期的には底堅いと話し、「(販売が)落ち込む時期はあるかもしれないが成長は続くだろう」と今も楽観的だ。


高級ファッションや宝飾品ブランドは相次いで中東で新店舗を構え、華やかなイベントを開催してきた。イスラエルとイランが直接攻撃の応酬を繰り返した今回の武力衝突以前の企業業績では、プラダの第1・四半期決算は中東地域売上高が前年同期比26%増、エルメスは14%増と堅調だった。

ただ、この先も高級品業界にとって買い物客を店舗に呼び込むには、中東訪問者数の維持が不可欠だ。高級旅行代理店グローバル・トラベル・モーメンツによれば、イスラエルとイランの武力衝突があったにもかかわらず、現時点では中東向けの長期的な旅行需要には影響が出ていない。

ただ、最近の情勢を受けて「中東地域への旅行を最終決定する前に、以前より慎重になる傾向は確かに見られる」と説明している。


[ロイター]


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