「どれくらいの規模で野菜を自給できるか」高齢で病持ちでも畑仕事をやって学んだ農業の知的で人間的な営みの魅力

2024年11月14日(木)16時18分
森永 卓郎 (経済アナリスト、獨協大学経済学部教授)*PRESIDENT Onlineからの転載

がんは幸せな病気

「がんというのは幸せな病気だ」と和田秀樹さんも、小倉智昭さんも言う。

突然死することが少なく、人生の幕引きを整える時間を確保することができるからだという。そのとおりだ。


私自身も、がん宣告以来、猛スピードで生前整理を進めてきた。

預金や投資の整理もそうだし、妻が大部分の作業を担ったのだが、私の介護用ベッドを入れるため、わが家の1階の和室を埋めていた荷物を一掃した。

家中を占拠していた私の本も少しずつ整理を始めている。

家族との関係が大きく変化

そして、一番大きかった変化は家族との関係だ。

長男の康平が「わが家はずっと母子家庭だった」と言うほど、私は仕事三昧で、家に帰らなかった。それが、がん闘病のなかで、いきなり家ですごす時間が増えた。

一番変化したのは妻との関係だ。

結婚して41年、妻とすごす時間というのはほとんどなかった。がんとの闘いが始まって以降の数カ月のあいだに妻とすごした時間は41年間の夫婦生活のなかですごした時間よりも長いかもしれない。

そのなかで、妻とは初めて新婚生活をすごしているような気分で、毎日がとても楽しい。この人と結婚できて、本当によかったと心から感じている。

一緒にすごす時間が増えるなかで気づいたことは、私と妻の性格が正反対といってもよいくらいに違うということだ。

まず食生活の嗜好が根本的に異なる。私は肉が大好きだが、妻は肉をほとんど食べない。病気のこともあるのかもしれないが、体感温度は私のほうが5℃ほど低い。だから、部屋の温度を妻の適温にすると、私は凍えてしまう。

メディアに出ることを極端に嫌う妻とメディアに出たがる私。ありとあらゆる生活スタイルが妻とは異なる。共通しているのは40年前の流行歌を懐かしがることくらいだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中