最新記事
資産運用

エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情

OVERSEAS REAL ESTATE

2024年8月31日(土)15時20分
藤田岳人(本誌記者)

客層として多いのは「会社経営者や医師などの富裕層」であり、純粋な投資として賃貸物件を買う人も少なくない。一方で「子供がイギリスのボーディングスクールや大学に留学するのをきっかけに自分や家族もたまに滞在するために購入する人や、定年後に移住するために購入する人も多い」と言う。賃貸に出す場合は「きれいに住んでくれて家賃の不払いなどの心配もなく、平均3~5年ほど住む日本人駐在員に貸すのが安心だと考える投資家が多い」。

そのため人気があるのは、都心部から少し離れた日本人学校があるような駐在員に人気のエリアだ。「これらの場所では1億円くらいから物件が購入できるので、サラリーマンにも買いやすい。自分が住んだり日本人駐在員に貸す場合は、利便性の高いマンションの人気が高い」と言う。


移住や滞在先として考えないなら現物とは別の方法が

菊地によれば、「『イギリス人は仕事や生活形態の変化に合わせて一生に8回ほど家を買い替える』と言われるほど、イギリスでは不動産売買が盛んで、資産価値として安定しているという魅力もある」と言う。その上で、「教育や文化が盛んで、気候が穏やかなイギリスは本当に住み心地がいい。マイペースに、豊かに過ごせる」と、引退後の移住先としての魅力を語った。

純粋な投資対象として見ると、国ごとの事情や日本との商習慣の違いなど難しさもある海外不動産だが、三井住友トラスト基礎研究所の安田も「移住のため、旅行の際の滞在先のため、子供の留学のためなど、投資という観点だけではない人にとっては別の魅力がある」と話す。

ただ、日本にはない成長性など投資対象としてのメリットを海外不動産に求めるのであれば、必ずしも現物の不動産を購入する必要はないと安田は言う。「それなら不動産が証券化された商品であるREIT(不動産投資信託)を買うのがいい。手数料はかかるものの、現物と違って流動性が高く、管理の難しさなどに煩わされることなく海外不動産投資のメリットだけを享受できる」からだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、26年も内需拡大継続へ 積極政策で経済下支え

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、10月は前月比+1.8% 予想上

ビジネス

独30年国債利回りが14年ぶり高水準、ECB理事発

ビジネス

ECB、次は利上げの可能性 近い将来はない─シュナ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中