最新記事
経営者

なぜ、アイリスオーヤマは「ピンチ」のときにこそ業績が飛躍的に伸びるのか?

2024年8月27日(火)19時16分
flier編集部
アイリスオーヤマの大山健太郎会長

アイリスオーヤマの大山健太郎会長(flier提供)

<著書『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』も大ヒットしたアイリスオーヤマの大山健太郎会長は、会社経営を「野球型」から「サッカー型」に変えようと語る>

2020年発刊後に版を重ね、2024年4月に文庫化された『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』(日本経済新聞出版)。アイリスオーヤマの戦略をまとめた一冊で、経営学者の楠木建さんが「痺れるほど面白い。日本発、競争戦略の傑作」と絶賛している名著です。

ピンチを常にチャンスに変え、生活提案型企業として新たな市場を創造し続けているアイリスオーヤマ。大山健太郎会長に、本書に込めた想いや、ご自身の生き方に影響を与えた本についてお聞きします。

(※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)


本書は「アイリスオーヤマの解体新書」

──2020年に本書を執筆された背景について、改めてお話ししていただけますか。

この本は、いわば「アイリスオーヤマの解体新書」です。私はアイリスオーヤマの創業者であり、当社はオーナーカンパニーなので、経営の全体像を明かすことができました。もちろん、他社に模倣されるリスクもありますが、それ以上に、知ってもらう効果のほうが大きいだろうと考えたのです。

本書は2020年発刊後、おかげさまでベストセラーとなり、今回はハードカバーより文庫本の方が手に取りやすいだろうと文庫化のはこびとなりました。経営学者の楠木建さんが序文に、「日本発、競争戦略の傑作」と書いてくださったのは光栄の至りでしたね。

いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
 著者:大山健太郎
 出版社:日本経済新聞出版
 要約を読む

アイリスオーヤマが「ユーザーイン」の発想を貫く理由

──コロナ禍が収束に向かったいまも、紛争の続く国際情勢、AI技術の革新など、変化のスピードは増すばかりです。そんな時代においては「環境を自ら変革する力」がますます重要であると考えます。この力を培いたいと考えるビジネスパーソンに向けて、本書に込めた想いをお話ししていただけますか。

いまの日本企業の経営は欧米キャッチアップ型で、上場会社を中心に効率が優先されています。経済が右肩上がりで伸びているときはこのスタイルでも問題ないでしょう。

しかし、19歳から60年間経営に携わるなかで感じてきたのは、企業は約10年単位で、常に変化を迫られるということです。たとえば高度成長期なら、メーカーは価格競争力のある高品質の製品をつくり、シェアナンバーワンをとれれば安泰だった。いわばプロダクトアウトの発想でよかったのです。

ところが、オイルショックの折には、「供給過剰になると市場が崩壊する」という現実を突きつけられた。この経験から、どんな変化が起きるかわからないからこそ、いかに変化に対応するかが企業経営の基本だと学んだのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中