EUメルコスル貿易協定、署名1月に延期 欧州委員長が首脳に通知
写真はEUメルコスル貿易協定に抗議する人々。10月14日、フランスのパリで撮影。REUTERS/Stephane Mahe
Philip Blenkinsop Lisandra Paraguassu
[ブリュッセル/ブラジリア 18日 ロイター] - 欧州連合(EU)筋によると、EU執行機関の欧州委員会のフォンデアライエン委員長は18日、EU首脳に対し、EUと南部共同市場(メルコスル)の貿易協定の署名が来年1月に延期されたと伝えた。EUの貿易拡大計画の行方に疑念が生じている。
フォンデアライエン氏は20日にブラジルを訪問して署名式に臨む予定だったが、これにはEU加盟国の幅広い支持を前提としていた。EU筋の3人はイタリアが「もう少し時間が必要」と要求したため十分な支持が得られず、署名は延期されたと述べた。
ブラジルのルラ大統領は記者会見で、イタリアのメローニ首相に電話して協定について話し合ったと述べた。メローニ氏は協定に反対しないが、農家の支持を得るために最大1カ月必要だと語ったという。
ルラ氏は17日に「合意が今月中に成立しなければ署名しない」と警告したが、20日のメルコスル首脳会議で今後の対応を協議すると述べた。
メローニ氏は声明で、イタリアは農業問題が解決されれば協定を支持する用意があり、迅速に実現できるだろうと述べた。
この貿易協定は交渉に約25年かかっており、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイが対象で、関税削減の規模としてEUで最大となる。ドイツ、スペイン、北欧諸国は米国の関税で打撃を受けた輸出を後押しし、中国に対する依存度を減らすため、鉱物資源のアクセスを確保できると主張している。
しかし、フランスやイタリアなどの批判派は安価な農産物の流入が欧州の農家を脅かすと懸念している。
ポーランドとハンガリーは協定に反対し、フランスとイタリアは牛肉、砂糖、鶏肉などの輸入増加に神経を尖らせている。この協定はEU加盟国の承認が必要で、加盟国の過半数の15カ国とEU人口の65%を代表する必要がある。イタリアの立場が鍵を握る。
EU最大の農業生産国であるフランスのマクロン大統領は「準備が現時点でできていない」と語り、フランスはポーランド、ベルギー、オーストリア、アイルランドと協力して延期を働きかけていると述べた。





