最新記事
ビジネス

テレビ・映画に加え、「第3次ストリーミング戦争」でネット配信も不調...ハリウッドに「大収縮」の危機

2024年2月12日(月)12時38分
ロイター

TDコーエンによれば、大半のストリーミングサービスでは値上げの一方で新作コンテンツの配信は減少しており、ストリーミング業界の長期戦略に対する懐疑的な見方が膨らんでいるという。

リアリティー番組ではなく台本のあるシリーズ番組の総本数は、過去最高だった2022年の633本に比べて急減するとみられている。ハリウッドにおけるストライキと支出削減が重なって、昨年の制作本数は落ち込んだ。市場調査企業アンペアアナリシスのデータによると、2023年に米国で公開されたシリーズは481本にとどまった。

アンペアによると、市場首位のネットフリックスでさえ、台本のあるシリーズ番組の配信本数は2022年から2023年にかけて3分の1以上も減少した。ネットフリックスは第4・四半期に新規加入件数が過去最高となり、ストリーミングサービスとしては高い収益性を誇る。同社にコメントを要請したが回答は得られなかった。

ロイターの取材に応じた業界幹部らは、今後数年のうちにストリーミングサービスでの制作本数はさらに減少し、300本台になる可能性があると語った。

国内の映画興行成績は、2024年も引き続き俳優と脚本家によるストライキの影響を受け、今年広範囲で公開される映画は2023年の約100本に対して90本にとどまるだろうとモフェットネーサンソンはみている。実績のない新作ストーリーやキャラクターによる映画作りが難しい状況のもと、2024年の米国における映画興行収入は80億ドル、つまり2023年に比べて10%、2019年に比べて30%の減少になると予想されている。

<「新世界秩序」>

業界幹部らによれば、テレビ・映画産業は減速中だ。アップルTVプラスのドラマ「フォー・オール・マンカインド」や、同じくテレビドラマの「アウトランダー」製作にも名を連ねたロナルド・D・ムーア氏のような一流プロデューサーによる企画であっても、開発責任者たちはなかなかゴーサインを出そうとしない。

製作予算も縮小している。時価総額3兆ドルを誇るアップルのように景気の良い親会社のもとにあるアップルTVプラスでさえ例外ではない。

視聴者の取り込みに失敗した番組は、以前よりも早々に打ち切りになっている。画期的なグラフィックノベルを原作に、オスカー受賞経験者であるミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンの2人を起用したディズニープラスの「アメリカン・ボーン・チャイニーズ」シリーズもその1つだ。

あるベテランのテレビエージェントは、シーズンが短縮され、1シーズンあたりのエピソード数も減少した状況を「新世界秩序」と呼ぶ。

フォックスは、主力ドラマ1本にかける予算を1話あたり1000万ドルから削減し、450万ドルとすることを検討中だ。ディズニーではボブ・アイガーCEOが「物言う株主」の攻勢を浴び、開発責任者はさらに厳しい吟味の対象となっている。

著名なタレントマネジャーの1人は「次にどう動くべきか、誰もがいささか神経質になっている」と語る。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン情勢、木原官房長官「石油需給に直ちに影響との

ワールド

茂木外相、「核兵器開発は決して許されない」 米攻撃

ワールド

米・イスラエルがイランに大規模攻撃、体制転換視野に

ワールド

中国、イラン攻撃の即時停止要請 米・イスラエルに懸
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 3
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキングが発表に...気になる1位は?
  • 4
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 5
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 6
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 7
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 8
    トランプがイランを攻撃する日
  • 9
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 10
    インフレ直撃で貯蓄が消える...アメリカ人の54%が「…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中