最新記事
起業

2024年を生き抜いたプレーヤーが、Web3.0の未来を握る

2024年2月21日(水)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載
Astar Networkのファウンダー、渡辺創太氏

Astar Networkのファウンダー、渡辺創太氏

<ブロックチェーン技術を柱に、特定のプラットフォーマーに依存しない、分散化の度合いを強めたインターネットを指す概念として注目される「Web3.0」(ウェブスリー)。日本発のパブリック・ブロックチェーンAstar Networkの創設者で、Web3.0の先駆者の一人渡辺創太氏に、トレンドや今後の展望を聞いた>

この数年、渡辺氏は日本とシンガポールの二拠点を行き来する生活を続けている。Astar Networkの開発拠点や自らCEOを務めるWeb3.0関連の事業会社Startale Labsの本社機能があるシンガポールで1年の大半を過ごすという。

「日本からアジアへ、そして世界へと打って出ていくにあたり、今はシンガポールという場所は一番都合がいいんです。起業関連の仕組みも整っていますし。でもいずれは、東京へ拠点を移したい。少しずつ起業環境も整備されていくでしょうし、自分としても生まれ育った国に貢献したい思いが強いですから」

インターネットのあり方を大きく変えると目されているWeb3.0。2019年に起業した渡辺氏だが、それから5年となる2024年が勝負の年になると見ている。

「グーグルやアマゾンなど、今のインターネット、つまりWeb2.0のデファクトスタンダード(業界標準)を作ったメインプレーヤーたちが出てきた2000年ごろの状況に、今のWeb3.0を取り巻く環境は似てきていると感じます。2024年を生き抜いたプレーヤーが、Web3.0の今後を握っていくことになるのではないかと思います」

tokyoupdates240215_1.jpg

アジア最大級のWeb3.0サミット「Token 2049 Singapore」で講演する渡辺氏

そして、ソフトウエアやサービスインフラを手がける日本勢にとっても「ラストチャンスになる」と渡辺氏は言う。

「ハードウエアの世界では戦後、トヨタ自動車やソニーなど、世界を代表する存在になった企業がいくつもありました。一方で、ソフトウェアやインターネット関連ではそうなりませんでしたし、ほぼアメリカ一強のような状況が続いています。幸い、Web3.0ではアメリカ勢が出遅れていて、どの国にも地域にもチャンスがあります。この領域なら、『令和のトヨタ』『令和のソニー』を生み出しうるし、日本にはそのポテンシャルもあるはずです。ただし、これが少なくともインターネット関連ではラストチャンスになるんじゃないでしょうか」

「Web3.0界の大谷翔平」を目指す渡辺氏の挑戦

起業家である渡辺氏にとって、Web3.0は起業を目指す若者に対して「道」を示す機会にもなるという。

「たとえばアメリカのテック業界を牽引している起業家だと、30代40代が多いですし、イーロン・マスク氏でさえまだ50代です。一方、日本では若い世代のロールモデルたりえる存在が出てきていない印象があります。私が尊敬する孫正義さんは60代ですが、やはりここまで世代が離れるとお手本としてのリアリティがなくなってしまいます。20代で起業した自分のような人間が、まずはブロックチェーンの領域で世界トップ10に入ることで、『自分たちもできるんだ』と思ってもらえるように、先陣を切っていきたいと思います」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ指導者、イスラエルへの報復攻撃を示唆 司令

ワールド

「オートペン」使用のバイデン氏大統領令、全て無効に

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で7月以来最大下落 利下げ

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 航
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 7
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中