中国経済の減速が生んだ、新たな「中国脅威論」...この「物語」が広まることで得するのは誰か?
A Wounded Dragon?
中国経済は確かに減速している。既に整備された都市や交通網、あるいは最近の貧困撲滅キャンペーンに匹敵する規模の事業を、新たにつくり出すことは難しいだろう。
中国の真の課題はそこではなく、教育、医療、技能と仕事のマッチング、高齢者対策、公害や二酸化炭素排出の抑制など多岐にわたる。これらの取り組みが成功する保証はないが、既に政府の計画に含まれており、中国のやり方で時間をかけて進めていくことになる。
そう考えると、中国の衰退が脅威になるという新しい物語は、西側にとっての物語と言える。資本主義と民主主義の必然的な勝利という西側の人々が信じたいことを強化し、「悪いことをする」かもしれない「悪い人々」にアメリカの指導者が打ち勝つという筋書きを強化する。つまりは2024年の米大統領選挙にうってつけの物語だ。

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