「アイデアマン」はなぜ増えないのか...1940年刊の名著が予言した、AI時代に勝ち続ける「2つの公式」
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<アイデアはAIにも出せるが、それを有効に使いこなす「操作技術の修練」は人間にしかできない。今後も人間がAIに負けない理由について>
1940年から世界中の人々を魅了し続ける、発想術の不朽の名著『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)。その邦訳版も1988年に刊行されて以来、クリエイター、学生、新社会人の間でバイブルとなっている。
広告マンとしてアイデアを出し続けなくてはならなかった著者のジェームズ・W・ヤングの発想術が、今も古びない理由とは何か。彼が編み出した2つの公式について抜粋する。
経験による公式
南太平洋の海に突然島が出現するという物語に架空小説(ロマンス)が付与しているあの神秘性をアイデアというものも幾分もっていると私は思ってきた。
昔の船乗りたちによると、海図の上では深い青海原しかないところに突如として美しい珊瑚の環礁が出現することになっている。あたりには不思議な魔法の気(け)がただよっている。
アイデアもこれと同じだと私は考えてきた。それは同じようにだしぬけに私たちの心の表面に現われてくる。同じような魔法の気に包まれて、同じような不可解さを伴って。
しかし、南海の環礁は実は無数の目に見えない珊瑚虫の海中におけるしわざであるということを科学者たちは知っている。
そこで私は自問してみた。
アイデアだってこれと同じことではないだろうか。それは、私たちの意識下で進行するアイデア形成の、長い、目にみえない一連の心理過程の最終の結実にほかならないのではないか。
もしそうなら、この心理過程は、意識してそれに従ったり、応用したりできるように跡付けてみることができないものだろうか。端的にいえば≪アイデアをあなたはどうして手に入れるか≫という質問に対する解答として一つの公式なり技術が開発できないだろうか、と。
私がいまから諸君に提唱しようと思っていることは、これらの疑問について長い間考えぬき、これまでに私が親交を結んだアイデア作成家たちの仕事ぶりを詳細に観察して得た結論なのである。
私はこう結論した。