最新記事
発想術

「アイデアマン」はなぜ増えないのか...1940年刊の名著が予言した、AI時代に勝ち続ける「2つの公式」

2023年9月6日(水)17時56分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
本

Gorlov-iStock

<アイデアはAIにも出せるが、それを有効に使いこなす「操作技術の修練」は人間にしかできない。今後も人間がAIに負けない理由について>

1940年から世界中の人々を魅了し続ける、発想術の不朽の名著『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)。その邦訳版も1988年に刊行されて以来、クリエイター、学生、新社会人の間でバイブルとなっている。

広告マンとしてアイデアを出し続けなくてはならなかった著者のジェームズ・W・ヤングの発想術が、今も古びない理由とは何か。彼が編み出した2つの公式について抜粋する。

◇ ◇ ◇

経験による公式

南太平洋の海に突然島が出現するという物語に架空小説(ロマンス)が付与しているあの神秘性をアイデアというものも幾分もっていると私は思ってきた。
 
昔の船乗りたちによると、海図の上では深い青海原しかないところに突如として美しい珊瑚の環礁が出現することになっている。あたりには不思議な魔法の気(け)がただよっている。

アイデアもこれと同じだと私は考えてきた。それは同じようにだしぬけに私たちの心の表面に現われてくる。同じような魔法の気に包まれて、同じような不可解さを伴って。

しかし、南海の環礁は実は無数の目に見えない珊瑚虫の海中におけるしわざであるということを科学者たちは知っている。

そこで私は自問してみた。

アイデアだってこれと同じことではないだろうか。それは、私たちの意識下で進行するアイデア形成の、長い、目にみえない一連の心理過程の最終の結実にほかならないのではないか。

もしそうなら、この心理過程は、意識してそれに従ったり、応用したりできるように跡付けてみることができないものだろうか。端的にいえば≪アイデアをあなたはどうして手に入れるか≫という質問に対する解答として一つの公式なり技術が開発できないだろうか、と。

私がいまから諸君に提唱しようと思っていることは、これらの疑問について長い間考えぬき、これまでに私が親交を結んだアイデア作成家たちの仕事ぶりを詳細に観察して得た結論なのである。

私はこう結論した。

ビジネス支援
地域経済やコミュニティを活性化させる「街のお店」...その支援が生み出す、大きな効果とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アップル、見通しさえず株下落 第4四半期は予想上回

ワールド

米裁判所、マスク氏訴訟の手続き保留を決定 大統領選

ワールド

北朝鮮、31日発射は最新ICBM「火星19」 最終

ワールド

原油先物、引け後2ドル超上昇 イランがイスラエル攻
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される
  • 2
    「まるで睾丸」ケイト・ベッキンセールのコルセットドレスにネット震撼...「破裂しそう」と話題に
  • 3
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 4
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員…
  • 5
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 6
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 7
    天文学者が肉眼で見たオーロラは失望の連続、カメラ…
  • 8
    中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布さ…
  • 9
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 10
    自爆型ドローン「スイッチブレード」がロシアの防空…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 5
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 7
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 8
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後…
  • 9
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中