最新記事

発想術

パジャマで出社でもOKのほうが、アイデア満載の会社になる

五輪エンブレム問題で揺れる今こそ再確認したい、ロングセラーに記された発想術の本質(後編)

2015年10月27日(火)06時20分

まずは楽しむこと いいアイデアを思いついたから楽しいのではなく、楽しんでいたからいいアイデアを思いつくのだ IPGGutenbergUKLtd-iStockphoto.com

アイデアのつくり方』(ジェームズ・W・ヤング著、今井茂雄訳、CCCメディアハウス)という本がある。原書の初版が刊行されたのは、なんと1940年。この邦訳版も初版は1988年で、四半世紀に及ぶ発想術のロングセラーである。

 ただし、この『アイデアのつくり方』、わずか104ページという薄い本で、しかもそのうち26ページが、科学雑誌『Newton』初代編集長で東大名誉教授の故・竹内均氏による解説である。

 そこで、「では、具体的にどうしたらアイデアを生み出せるのか?」という要望に応えたのが、アメリカの広告業界で40年近いキャリアを積んだジャック・フォスターによる『新装版 アイデアのヒント』(青島淑子訳、CCCメディアハウス)だ。

 とはいえ、こちらの『アイデアのヒント』も実は、旧版が1999年、新装版が2003年刊行と、15年以上日本で支持され続けてきたロングセラー。随所に記された「ひらめくためのハウツー」が、これだけ仕事の環境が変わった今も古びないのは驚きだ。

 アイデアとは何か、独創性とは何か――。東京五輪エンブレム問題などで関心の高まった今こそ、これらのロングセラーをひも解いて、発想術の「本質」を再確認してはどうだろう。ここでは、『新装版 アイデアのヒント』から「第1章 アイデアって何だろう」と「第2章 もっと楽しもう」を抜粋し、前後半に分けて掲載する。

<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>


『新装版 アイデアのヒント』
 ジャック・フォスター 著
 青島淑子 訳
 CCCメディアハウス


『アイデアのつくり方』
 ジェームズ・W・ヤング 著
 今井茂雄 訳
 竹内 均 解説
 CCCメディアハウス

※「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」とヤングは言った:抜粋記事の前編はこちら

◇ ◇ ◇

もっと楽しもう

「ゲーテを読んでいると、ひょっとして彼は読者を笑わせようとしているのではないかと思うことがある」
――ガイ・ダベンポート(アメリカの小説家)

「深刻になるのは、浅はかな人間の逃げにすぎない」
――オスカー・ワイルド

「楽しむ」ことをアイデアを得るための心の準備として最初にもってきたのは、偶然ではない。わたしの経験からすると、これが一番大切なことだと言ってもいい。なぜだか説明しよう。

 広告代理店のクリエイティブ部門では、ふつうコピーライター一人とアートディレクター一人がチームを組んで一つのプロジェクトにかかわる。わたしのいた会社でもそうだったが、会社によっては三つか四つのチームを同じプロジェクトで競合させるケースもある。そんなとき、最高のアイデア、最高の広告、最高のテレビコマーシャル、最高の屋外広告を提案するのがどのチームかはいつもはっきりしていた。

 それは一番楽しんでいたチームだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア、対米関税「ほぼゼロ」提案 貿易協議で

ビジネス

訂正-日経平均は小反落で寄り付く、米市場休場で手控

ワールド

ルラ大統領、再選へ立候補示唆 現職史上最高齢で健康

ワールド

米テキサス洪水死者78人に、子ども28人犠牲 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中