最新記事
ビジネス

堀江貴文が指摘、日本が持つ宇宙開発ビジネス「2つのアドバンテージ」。問い合わせが殺到している

2023年8月30日(水)18時50分
堀江貴文(実業家)
堀江貴文

写真:徳間書店提供

<IT分野でアメリカや中国に勝てなかった日本だが、ロケット産業で「勝つための条件は揃っている」と実業家の堀江貴文氏。条件とは何か、そしてウクライナ戦争の思わぬ影響とは>

※本稿は、『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(堀江貴文・著、徳間書店)の一部を抜粋・再編集したものです。

◇ ◇ ◇

日本はロケット大国になるポテンシャルを持っている。いまはまだアメリカや中国に先行されているが、世界一の座を狙える可能性はじゅうぶんにある。

大風呂敷を広げているわけではない。なにより日本には地の利がある。

ロケットを効率的に打ち上げるには東の方角が適している。地球の自転を味方につけて加速できるからだ。真西の方角は、真東の方角に比べ、打ち上げることのできるロケットの重量がほぼ半分程度になってしまう。

東の方角が適しているといっても、そこに市街地や他国の領土があるととうぜん打ち上げは無理だ。落下しようものなら大変だ。

東に他国の領土を望むヨーロッパの国々は自国内からロケットを打ち上げることができない。だから南米にあるフランス領ギアナまでわざわざロケットを運び、そこの発射基地から打ち上げ実験を行っている。いちいち、手間と時間とお金がかかるのだ。

ひるがえって日本。東には広大な太平洋が拡がっている。絶好のロケーションだ。

日本にはさらにもうひとつ、アドバンテージがある。

独自の人工衛星を活用したい一般企業は、宇宙開発企業にその打ち上げを依頼する。スペースXなどがよくこれを請け負っていて、いまのところそうした一般企業からの需要はアメリカに集中している。

ただし、アメリカ製のロケットには米政府によるITAR(国際武器取引規則)という規制がかけられている。この規制は、武器あるいはその開発技術が敵対勢力に渡らないようにするためのものだ。ロケットはミサイルに転用できる。だからこのITARによって、アメリカの宇宙開発企業に力を貸してもらえない他国企業もある。またアメリカの宇宙開発企業の力を借りられたとしても、膨大なペーパーワーク(書類の作成)が課される。利用する側としてはとても面倒だ。

かたや日本にはそうした規制はない。ITARの影響を受ける国々を中心に今後、進展著しい日本のロケットの需要は高まっていく。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中