最新記事
日本経済

日本企業の約2割で中国の重要度低下、米中対立などの地政学リスクや景気減速で

2023年8月17日(木)12時04分
ロイター
上海の高層ビル

企業調査では、デフレ懸念が出ている中国について、19%の企業が中長期的に自社にとっての重要度が低下すると回答した。写真は上海で2016年3月撮影(2023年 ロイター/Aly Song)

8月のロイター企業調査では、デフレ懸念が出ている中国について、19%の企業が中長期的に自社にとっての重要度が低下すると回答した。米中対立の深刻化や景気減速が懸念されているほか、インドなどの成長で選択肢が拡大していることも背景となっている。

調査期間は8月1日から8月10日。発送社数は503、回答社数は256だった。

中国は2023年の成長率目標を5%前後としている。ただ、ロイター企業調査では、5%成長が達成できるとした企業は7%に過ぎず、46%の企業は達成できないだろうとみている。

中国の成長力に疑問符が付く中で、中長期的に中国市場の重要度が低下するとした企業は19%に上った。変わらないとの回答は69%、重要度が上がるとした企業は13%だった。重要度が低下するとした業種としては、鉄鋼・非鉄が36%、繊維・紙・パルプが33%、金属・機械が33%と上位を占めた。

重要度低下の背景としては、米中対立など地政学リスクが74%、景気減速が60%と多いほか、インドなどの他の選択肢の拡大も45%となった。

「中国企業が力を付けており、汎用向けは価格的に対抗できない」(化学)とする声も聞かれた。地元企業との競争に打ち勝つためにも「競争優位性のある独自の付加価値づくり」(精密機器)や「中国企業との合弁などによる現地化の推進」(その他製造)などを進めているという。

一方で「中国企業の追い上げは厳しいが、それでもまだ欧米エンドユーザー企業の工場監査に耐える力は少なく、日本企業の優位性はある」(電機)との指摘も聞かれた。

日本企業への中国ビジネスについてのアンケート1

日本企業への中国ビジネスについてのアンケート2

(清水律子 グラフィック作成:照井裕子 編集:田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

建築
顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を持つ「異色」の建築設計事務所
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ南東部にミサイル、11人死亡 NATO首

ワールド

イスラエル、ガザでの攻撃続行 イランとの停戦合意後

ワールド

トランプ氏は「断固たる行動」、NATO事務総長が称

ビジネス

利下げ急がず、関税の物価への影響不透明=米クリーブ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 5
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 6
    イスラエル・イラン紛争はロシアの影響力凋落の第一…
  • 7
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 8
    「温暖化だけじゃない」 スイス・ブラッテン村を破壊し…
  • 9
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 10
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中