最新記事
経営者

社員の「尖り」が見える...不動産業界のパイオニアが、社員の読む本を「全額負担」して得たもの

2023年7月25日(火)17時51分
flier編集部

230720fl_rab03.jpg

社員の「尖り」が書棚から見える仕掛けに

大賀 「知の貯金箱」は中長期的に、リブランの事業や企業文化にどのような影響を与えていますか。

鈴木 社員同士のコミュニケーションに良い変化が起きていますね。たとえば読んだ本についてSNSの投稿があれば、その人の知識の背景が相手にも伝わりやすくなります。こういう価値観なのかと相互理解が進む。また、選ぶ本が違うからこそ、互いに刺激を与え合うような新たな関係性が生まれています。社員のおすすめ書籍は会社の本棚にストックしていて、地域の方に貸し出しをしているんです。

大賀 お客様とも本を通じて交流が生まれるような知の空間がオフィスに広がっているのは素晴らしいですね。

鈴木 お客様がリブランに期待するのは「異端」であること。会社の書棚は、尖った価値がどんな知識から生み出されているのか、その背景を見せる役割もあると思っています。一般的な不動産デベロッパーなら、土地の歴史や不動産投資の本が並んでいそうですが、意図的に土俵をずらして、リブランの社員の「尖り」がお客様に見えるようにしています。

これからの住宅は「クレイジーな存在」でないと生き残れない

大賀 御社の社員は圧倒的な読書量を誇ると思いますが、読書の文化を土壌にして、今後会社をこんなふうに導きたいという方向性があればお聞かせいただけますか。

鈴木 2023年4月にリブランの社長を退任したので、具体的なビジョンは次の社長にゆだねますが、これまでと異なったパラダイムの時代の到来を見据えなくてはいけないと考えています。2035年には東京都23区の人口がピークアウトを迎えて、減少トレンドになる。リブランが提供してきた異端の価値が通用するのも、その頃までです。

今後、新たなドメインにシフトするには、これまでにない「気づき」が必要です。気づきを生み出すためのカギは「知識」と「分業」。いかに知識を積み上げて、不完全で尖った人材を育てて、効果的な分業体制を築いていくかの勝負だと考えています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

全国コアCPI、11月は+3.0%で伸び横ばい エ

ワールド

NY証取など、24・26日の取引時間に変更なし 連

ビジネス

米ナイキ、9─11月決算が予想上回る 利益率低下で

ワールド

フィンランド右派政党、「つり目」ポーズ投稿議員に厳
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中