最新記事
経営者

社員の「尖り」が見える...不動産業界のパイオニアが、社員の読む本を「全額負担」して得たもの

2023年7月25日(火)17時51分
flier編集部

大賀 社会問題に根差した個性のある「住まいのあり方」を提供しているのですね。御社の社員の方々の雰囲気や特徴はどのようなものですか?

鈴木 個性豊かな人が多いですね。中には、バンド活動をしていて「音楽と住宅を両立できるデベロッパー」ということに惹かれて応募してきた社員や、アメリカで大規模農業に携わってきた人もいます。最近では、ミュージションの事業に共感して入ってきた音大卒の社員も増えてきました。

230720fl_rab04.jpg

フライヤー代表・大賀康史氏(flier提供)

大賀 鈴木さんが人材育成で大事にしている点もお聞きしたいです。

鈴木 社員にはどんどん新しい挑戦をしてほしいと考えています。今の主力商品は、数多く失敗をしてきたなかでの生き残りなんです。マーケットは需給バランスが決まっているので、トライアンドエラーをしない限り、いずれ飽和点に達してしまう。飽和する前に新たな取り組みを始めないといけないし、そのためにはもっと失敗が必要になります。

事業の安定期に入社する社員からすると、「安心して売れる商品があるし、先輩たちに教わった通りにがんばろう」と思うかもしれません。でも、こうした発想は衰退のはじまりです。挑戦して失敗しても、学びを得られれば、それは会社の未来につながる投資になります。

お金を理由に、「本からの学び」の機会を失ってほしくなかった

大賀 御社では、社員が読みたい本の購入費用を会社が全額負担する「知の貯金箱」という制度を16年間継続されています。この制度をつくった背景にある想いを聞かせてください。

鈴木 若いうちに、書籍にかけるお金を気にせず、読書によって自分自身の興味が広がる経験をしてほしいという願いがありました。私自身は社会人になるまでほとんど本を読んでいませんでした。読書遍歴のはじまりは20代後半のとき。経営学者ドラッカーの対談番組に引き込まれたのを機に、『マネジメント【エッセンシャル版】』や『チェンジ・リーダーの条件』などを読みはじめたらドハマりした。それからドラッカーの著書を制覇していきました。

読書は、興味のあるところに杭を打つ行為です。「これぞ」という一冊に出合ったら、その背景にある本や著者を掘り下げていくと、興味の対象が広がっていきます。あくまで最初の杭を打つことが重要なので、課題図書や推薦図書という形でジャンルを絞らないほうがいいと思いました。出発点は歴史小説などでもいいし、漫画も否定しません。そこから興味が広がればいい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

12月利下げは不要、今週の利下げも不要だった=米ダ

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ワールド

イスラエル軍がガザで攻撃継続、3人死亡 停戦の脆弱

ビジネス

アマゾン株12%高、クラウド部門好調 AI競争で存
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中