最新記事
美容

美容整形手術数ナンバーワンの韓国、日本人女性をターゲットに動き出す

2023年6月21日(水)21時20分
佐々木和義
韓国での美容整形手術

美容整形で問題となっている代理医師疑惑を払拭するため、多くのクリニックが手術動画を撮影。また立ち入りを認めることもある(撮影=筆者)

<Kビューティーが人気の日本に韓国・美容整形業界が狙いを向けた>

韓国の美容整形外科が日本人患者の取り込みに力を入れはじめている。美容医療アプリ運営会社が東京で相談会を開催、また美容整形情報を発信する会社が韓国美容情報誌「K-Beauty」を発刊、大阪を中心に配布している。美容整形外科医院が集中するソウル市江南区も日本人の誘客に取り組んでいる。

韓国は人口あたりの美容整形手術件数が世界1位の美容整形大国だ。親たちは子供の卒業祝いに整形手術をプレゼントする。就職活動を前に整形手術を受ける学生や自分の顔に不満を持って整形手術を受ける社会人、シワ除去や脂肪吸引手術を受ける中高年も珍しくない。芸能人はいうまでもなく、若々しい印象を出したい政治家や企業トップなどあらゆる人が美容整形手術を受けている。授業参観でどの生徒の親なのか見当がつかない母親が少なからずいるという。

コロナ禍のマスク着用で美容整形が増加

新型コロナウイルスのパンデミックが韓国国内にも広がると韓国政府は新型コロナウイルスの拡大を防止するため、マスク着用を義務化した。すると、美容整形手術を受ける人が増加しだした。整形手術後は、腫れがひくまで数日から1週間程度、手術痕をガーゼで覆うので、普段なら整形手術を受けたことが周りに知れるが、マスクの義務化で隠すことが容易になったのだ。また人と接する機会が少ない在宅勤務やオンライン授業の増加も美容整形を後押しした。

クレジットカード会社のハナカードが2020年、美容整形外科のカード決済を分析したところ、前年を10%上回っていた。クリニックの数も増えている。国税庁のデータによると2018年から2020年、美容整形外科クリニックは年4%のペースで増えていたが、2020年から22年の増加率は年8%で、2019年2月に1455か所だった美容整形外科クリニックは、22年2月には1640カ所まで増加した。

美容整形手術を受ける韓国人が増えた一方、外国人を多く抱えていた美容整形外科クリニックは経営危機に見舞われ、廃業するところも出てきた。2022年8月、整形手術を受けた韓国人が、手術費と術後の管理費と合わせて340万ウォンを分割払いで決済したが、手術後の管理を予約しようにも連絡が取れず、廃業したことがわかったという。患者はカード会社にサービスを受けられない残金の取り消しを要求。カード会社が拒絶したため、韓国消費者院に訴えた。消費者院は「割賦取引に関する法律」により、カード会社は消費者に残金を請求できないと通知した。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ東部の要衝ポクロウシクの攻防続く、ロシア

ワールド

クック理事、FRBで働くことは「生涯の栄誉」 職務

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRB12月の追加利下げに

ビジネス

キンバリークラーク、「タイレノール」メーカーを40
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中