最新記事

中国経済

中国、規制強化で時価総額110兆円消失 欧米投資家も見直しの動き

2021年8月22日(日)09時57分

投資家は、今回の変化が長期的に経済成長をより包括的なものにするための広範な取り組みの一環であると認めつつ、将来のリターンについては、慎重なリスク評価に重きを置くよう心掛けている。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、マイケル・ボリガー氏は「ボラティリティーやノイズと、恒久的な動きを確実に見分けることが需要だ」と言う。

痛手を被ったセクターの一部は、いずれ回復する公算が大きい。だが、政府が非営利化を望んでいる学習支援サービスなどのセクターは全く見通しが立たない。「これらの企業は、DNAがほとんど入れ替わってしまった」と言う。

その痛みは大きい。EPFRのデータによると、今月最初の週だけで、主に中国株に投資する株式ファンドから約20億ドルが流出した。モーニングスターのデータでは、中国に特化したファンドのリターンは少なくとも7%のマイナス。過去5年間の平均は約13%のプラスだった。

影響は債券にも

株式以外の市場にも影響は波及している。

中国の債券市場は、不良債権処理会社である中国華融資産管理、中国恒大などの債務危機に動揺しており、1月に1.8だった与信スコアのZ値は先月0.7となった。通常、Z値が1.8を割ると企業倒産の危機が迫っていることを意味する。

アシュモア・グループの調査部門の副責任者、グスタボ・メデイロス氏は「政府はこうした不動産開発業者が債務不履行に陥り、大きな債務危機が起きるのを容認するだろうか」と疑問を投げかける。

SSGAのアジア太平洋地域の投資戦略・調査責任者、ミッシェル・バーロウ氏も「過去の歴史を振り返ると、スプレッド拡大は市場参入にとって魅力的なタイミングだ」と話すが、注意は怠れない。

アライアンス・バーンスタインのグローバル・マーケッツ・フォーラムで新興市場国債を担当するシャマイラ・カーン氏は「投資家は投資スタイルを利回り重視から、基礎的諸条件の分析に基づく形へと変える必要がある」と述べた。

そのことが中国の資産をより持続可能なものとし、長期的には企業収益を支えることになるかもしれない。

SEBインベストメント・マネジメントのアセットアロケーション部門グローバルヘッド、ハンス・ピーターソン氏は、今年の中国市場急落で打撃を被っているものの、市場に留まっており、政府と中央銀行が新たな景気対策を打ち出せば、中国資産を追加取得するかもしれないと述べ「中国の問題点よりも、可能性に目を向けるべきだ」と訴えた。

(Tom Arnold記者、Marc Jones記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、中国国家主席と会談 両国関係「新たな段

ワールド

トランプ氏、対コロンビア軍事作戦を警告 「良い考え

ビジネス

台湾検察、東京エレク現法を追起訴 TSMC機密取得

ビジネス

英消費者向け融資、11月は2年ぶり大幅増 家計需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── 韓国拉致被害者家族が見る日韓の絶望的な差
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 7
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    スペイン首相、アメリカのベネズエラ攻撃を「国際法…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中