最新記事

中国経済

中国、規制強化で時価総額110兆円消失 欧米投資家も見直しの動き

2021年8月22日(日)09時57分
中国経済のイメージ

経験豊富な投資家なら誰でも、金融市場は問題が起きれば極端に振れると言うだろう。2020年2月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

経験豊富な投資家なら誰でも、金融市場は問題が起きれば極端に振れると言うだろう。しかし、その市場が世界第2位の経済大国で、政府がゲームのルールを変えると決めたらどうなるだろうか。

中国ではこの数カ月間に電子商取引、個人事業主が単発の仕事を請け負う「ギグエコノミー」、受験産業、直近ではオンライン保険などの業界で次々と規制が強化され、株式市場で2月以降に1兆ドル近くの時価総額が消失した。

外国投資を呼び込むために米市場にも上場している大企業にとって、2021年はすでに世界金融危機後で最悪の年となっている。


もちろん回復の可能性はあるが、容易なことではない。アナリストの多くが混乱は収束に向かうと確信しているとはいえ、それがいつなのかを知るのは、中国共産党指導部のみだ。

ジャナス・ヘンダーソンのマルチアセット部門を率いるポール・オコナー氏は「投資家はショックを受けている。今回の動きは中国の企業利益見通し、バリュエーション、投資家心理などに大きな影響を与える」と指摘した。

だが、影響の程度はいかほどだろうか。

モルガン・スタンレーの試算によると、MSCI中国株指数は今年、世界株指数に対して記録的な出遅れとなっており、足元では1年後の利益見通しに基づくPER(株価収益率)が13.9倍と、MSCI新興市場株指数に対して5%のプレミアムが乗っている。

年初は約17倍。モルガン・スタンレーは13倍まで下がる可能性があると見ている。

今回の混乱で中国株に強気だったアナリストは、損害を見極めようとしているところだ。

一連の規制強化が発表される前の3月時点で、MSCI中国株指数構成銘柄の1年後株価目標の平均コンセンサスは、1年前と比べて40%ほど高かった。

リフィニティブのデータによると、大半のアナリストの投資判断は電子商取引大手のアリババ、インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)などで少なくとも「買い」、年初来で株価が90%近く下落した新東方教育科技でも「ホールド」あるいは「買い」となっている。

ジャナスのオコナー氏は「業績見通しと投資判断を引き下げる動きは、まだ始まったばかりだ」と述べた。

国内で負債が最も多い不動産開発会社の1つ、中国恒大集団は、既に時価総額がピーク時から半分以下に縮小。業績見通しに基づくPERが約13倍と、同業他社を大きく下回っている。

先行きは明か暗か

過去5年間に8000億ドル余りの資金をつぎ込んできた投資家が、今後数十年にわたり中国が世界の金融市場にとって、最大のけん引役になるという賭けをあきらめることはなさそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、レバノン攻撃継続なら停戦離脱と報道 合意巡

ワールド

ヒズボラが攻撃停止か、イスラエルはレバノンで大規模

ワールド

トランプ氏、イランとの直接会談「非常に近く」実現=

ワールド

国連特使がイラン到着、紛争の包括的解決探る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 5
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 6
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 7
    アメリカとイランが2週間の停戦で合意...ホルムズ海…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 10
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 9
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中