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アフターコロナを見据えた働き方とオフィス戦略の在り方──短期的なコスト削減のためにオフィスを手放すな、GAFAの大規模な投資はこれからも続く

2021年6月15日(火)16時15分
百嶋 徹(ニッセイ基礎研究所)

メインオフィスの重要性を熟知し実践してきた米国の先進的なハイテク企業では、コロナ禍が終息し従業員の安全確保が確認されれば、コロナ対応として速やかに発動したBCP(在宅勤務体制への移行など)を直ちに解除し、メインオフィスでの業務を全面的に再開するのが基本形であろう。すなわち、不動産を重要な経営資源に位置付けるCRE(企業不動産)戦略の下でのオフィス戦略を組織的に実践できている先進企業であれば、コロナ後には平時の体制に戻すのであって、最先端のワークスタイルやワークプレイスを活用したこれまでの戦略に大きな変更は生じないはずだからだ。

一方、多くの日本企業では、これまでメインオフィスをイノベーション創出や企業文化体現の場として十分に活かし切れていなかった、と言わざるを得ない。多くの日本企業の在り方としては、導入・実践が遅れている大本のCRE戦略をしっかりと取り入れた上で、それに基づく創造的なオフィス戦略を新たに構築することが急務だ。

メインオフィスの役割・在り方は、再定義するまでもなく、米国の先進企業がこれまで実践してきたように、コロナ前から既に明確になっている。日本企業が今やるべきことは、オフィスの再定義ではなく、米国の先進企業が実践してきた「オフィス戦略の定石」を一刻も早く取り入れることだ。

2|働く環境の多様な選択の自由

従業員にその時々のニーズに応じて「働く環境の多様な選択の自由」を与えることは、働き方改革の本質であり、原理原則として実践すべきだ。

そのためにはメインオフィス内にも、従業員同士の交流を促すオープンな環境や集中できる静かな環境など多様なスペースの設置が求められる。平時での在宅勤務は、経営側からの指示ではなく、従業員が働き方の選択肢の1つとしていつでも自由に選択できるようにすべきだ。さらにワーケーションを含めたサテライトオフィスやコワーキングスペースなどのサードプレイスオフィスを選択肢に加えることも一法だ。

組織スラックを備えた経営を

1|短期志向から中長期志向の経営へ

働く環境の多様化とBCP対策の強化を進めるには、メインオフィスを働く場の中核に据えつつも、拠点配置の分散化・二重化が欠かせない。

コロナ禍を契機に、日本企業は短期的な収益や効率性にとらわれがちだった視点を改め、中長期のイノベーション創出やサステナビリティ(持続可能性)確保のために短期的には効率が低下しても、経営資源をぎりぎり必要な分しか持たない「リーン型」の経営ではなく、経営資源にある程度の余裕、いわゆる「組織スラック」を備えた経営を実践しなければならない。

多くの日本企業は、経営の短期志向と決別できるかが問われている。

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