最新記事

自由貿易協定

日中韓など東アジア16カ国参加のRCEP、20年署名目指す首脳声明 インドは参加見送り

2019年11月5日(火)09時29分

日本、中国、韓国など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の首脳会合は、インドを除く15カ国が2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることで合意した。写真はインドのモディ首相。4日、バンコクで撮影(2019年 ロイター/Chalinee Thirasupa)

日本、中国、韓国や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の首脳会合が4日、バンコクで開催され、インドを除く15カ国が2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることで合意した。インドは中国が主導するRCEP交渉で市場アクセスを巡る懸念が対応されず、自国の農業、消費部門が影響を受けるとして参加を見送った。

RCEPには中国が支持したほか、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN加盟10カ国が参加を表明した。声明で「RCEP参加15カ国は全20章および基本的には市場アクセスを巡るあらゆる問題について条文ベースでの交渉を妥結した」とし、来年の署名を目指すと表明。「世界環境が目まぐるしく変化する中、RCEP交渉の妥結は地域全体の開放された貿易と投資環境に対する集団的なコミットメントを示すものとなる」とした。

一方、「インドには重大な未解決の問題がある。インドの最終的な判断は、これらの問題の満足のいく解決にかかっている」とした。ただ中国の楽玉成外務次官は「インドの準備ができれば、いつでも参加を歓迎する」と発言。15カ国はインドの将来的な参加に道を残した。

長期にわたり議論されてきたRCEPを巡っては米中貿易摩擦が新たな刺激となったが、インドのモディ首相は、関税の違いや貿易赤字、非関税障壁などを理由に合意しないことを決断したという。

インド政府によると、モディ首相は「RCEP合意について、すべてのインド国民の利益に照らし合わせて考えた場合、肯定的な答えは得られなかった」とし、インド国民の利益を考慮する必要があったと説明した。

RCEPは参加国に段階的な関税撤廃を義務付けていることから、インドは中国の安価な製品のほか、オーストラリアやニュージランドからの安価な農産品で自国の市場が損なわれると懸念していた。

インドが不参加でもRCEP15カ国の国内総生産(GDP)は全世界の約3分の1に相当。ただカバーする人口は、インドが参加すれば全世界の約半分となるところ、3分の1以下にとどまる。

RCEPを主導する中国は現在米国との貿易戦争に直面しており、インドがRCEPに参加すればRCEPに対する中国の影響が和らぐ可能性がある。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!


ニュース速報

ワールド

シンガポール、第2四半期に景気後退入り 過去最悪

ワールド

台湾外相、米厚生長官と会見「中国が台湾に圧力、第2

ワールド

バイデン氏、今週半ばにも副大統領候補を発表=関係筋

ワールド

豪就業者数、7月はほぼ横ばい ビクトリア州では減少

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本

※次号は8/18(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 2

    日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い面もある

  • 3

    日本は事実上の「学生ローン」を貸与型の「奨学金」と呼ぶのをやめるべき

  • 4

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは.....…

  • 5

    米大統領選、バイデン勝利率は65% ここにきてトラン…

  • 6

    モーリシャスが環境緊急事態宣言 日本船の燃料流出…

  • 7

    「私は恵まれていたが、ディケンズで社会の不平等を…

  • 8

    韓国サムスン、インドのスマホ市場で巻き返し 反中…

  • 9

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 10

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティ…

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 3

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 4

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 5

    K-POPも韓流ドラマも実は世界で売れていない? 韓国…

  • 6

    陽性者急増、名古屋の医師が懸念する「市中感染」の…

  • 7

    再開は早過ぎた?クルーズ船でクラスター発生、寄港…

  • 8

    【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に…

  • 9

    地球上で最も天体観測に適した場所が特定される──し…

  • 10

    中国に「無関心で甘い」でいられる時代は終わった

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    中国・長江流域、豪雨で氾濫警報 三峡ダムは警戒水位3.5m超える

  • 4

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている.....…

  • 5

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 6

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 7

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 8

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

  • 9

    戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路

  • 10

    中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月