最新記事

キャッシュレス決済

日本よりキャッシュレス進む東南アジア 屋台から配車サービスまで競争過熱

2019年10月23日(水)12時11分

戸惑う屋台のオーナーも

複数の情報提供者によれば、ソフトバンクの支援を受けるグラブは、インドネシアにおける傘下のデジタル決済企業OVOと、アント・フィナンシャルの支援を受けるダナとの合併に向けた交渉を進めている。OVO、ダナ両社は、インドネシアにおけるeウォレット上位5社に入っており、規模と競争力を高めてライバルのゴジェクより優位に立つのが合併の狙いだ。

ベトナムでは6月、eウォレット「ヴィモ」が決済処理企業エムポスと合併のうえ、「ネクストペイ」という新ブランドを立ち上げ、野心的な成長プランを掲げて3000万ドルの資金調達を開始した。

ネクストペイのングイェン・フー・チュアットCEOは、「ベトナム全土に展開し、対応可能店舗数を現在の6万店から30万店に拡大、50%の市場シェアを獲得する」と述べつつ、顧客に支払い慣行を変えさせることが課題になると指摘した。

ベトナム政府も消費者の支払い慣行の変更を促す努力を進めているが、ホーチミンシティの屋台オーナーは、その難しさを認める。

屋台オーナーらによれば、国内企業モカとグラブの提携による事業も含め、eウォレットサービスのなかには、ウォレット利用による支払いに対して最大30%までの割引を提供する例もあるという。

ロイターの記者が立ち寄った麺類の屋台では、フォンさんという店主が、「キャッシュレス化をめざす政府のプランには従いたいと思っているが、個人的にはあまり好きではない。だから『午前中は現金、午後はカード』というシステムにしている」と語る。

さまざまな戦略

キャッシュレス化に向けた転換点が近づくなかで、ユーザーを集めておくことは至上命題になっている。

フィンテック企業FISでアジア太平洋地域担当ジェネラルマネジャーを務めるフィル・ポンフォード氏は、「商品の成熟が進み、消費者が最高のサービスを提供する企業へと乗り換えていくなかで、地域・国内レベルでeウォレットサービスの統合が進んでいく可能性は非常に高い」と話す。

「1つ可能性の高いシナリオとしては、グローバル規模及び/または域内の大手統合アプリの1つが、東南アジア全体のサービスを統合してしまうという形だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訪日外国人6月は7.6%増の337万人、伸び鈍化 

ビジネス

英6月CPI、前年比+3.6% 24年1月以来の高

ビジネス

ECB、関税巡る不確実性には「安定した手」が必要=

ワールド

インドネシア、米国との通商合意は懸命な交渉の成果=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 6
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 7
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 8
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 9
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 10
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 7
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 8
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中