最新記事

貿易戦争

G20大阪サミットで米中首脳会談へ 貿易戦争、両者がもつ切り札は?

2019年6月21日(金)11時20分

米中貿易戦争の激化は、両国が相手から譲歩を引き出そうと圧力を強め合うなか、関税措置の応酬を越えた領域に突入している。写真は北京の天安門に掲げられた毛沢東氏の肖像画の前ではためく米国旗。2017年11月撮影(2019年 ロイター/Damir Sagolj)

米中貿易戦争の激化は、両国が相手から譲歩を引き出そうと圧力を強め合うなか、関税措置の応酬を越えた領域に突入している。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、今月28─29日に開かれる20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせて首脳会談を開く。

トランプ氏は、会談で貿易協議が進展しなければ、中国からの輸入品に追加関税を課すと表明している。一方で中国の国営メディアによると、中国が次の交渉材料としてレアアース(希土類)を使ってもおかしくない。米国は衛星から電気自動車用バッテリーに至るハイテク製品の生産に必要なレアアースの供給を中国に依存している。

米中双方が今後取り得る手段を検証した。

中国が取り得る措置

●レアアースを標的に

習近平・国家主席は5月、中国南部のレアアース企業を訪問した。貿易戦争の一環で、ハイテク機器や軍事装備に不可欠なレアアースの供給を停止するのではないかとの憶測が飛び交った。中国は、米国が使うレアアースの80%を供給している。

●関税の引き上げ

中国は、現在も報復関税を課していない100億ドル(1兆800億円)相当の米製品に、関税を課すことができる。

中国政府は昨年12月に米国車に対する関税の一部を撤回しているが、それを再度課税することもできる。

中国はまた、大豆などの一部米製品の関税率を25%からさらに引き上げることができる。貿易戦争が激化するまで、中国は米国産大豆の最大の輸入国だったが、これを機に輸入はほとんど止まってしまった。

再度関税率が引き上げられれば、中国の大豆輸入業者は2018年と同様、ブラジルなどからの調達を増やすことになり、米国の農家に打撃となるだろう。これは、2016年の米大統領選でトランプ氏勝利に貢献した農業層を狙った関税といえる。

半導体やその製造装置など、ハイテク製品に対する関税が引き上げられる可能性は低い。代替の供給元を探すのは中国にとって難しいからだ。

中国はこれまでのところ、米国からの輸入品として最も高価な航空機大手ボーイングの旅客機は関税対象にしていない。中国の航空会社は、増大する需要に応えようと拡大を急いでおり、ボーイング機に関税を課せば、国内旅客業の発展を遅らせる可能性がある。

中国が、ボーイングの代わりに欧州のエアバスから調達を増やす可能性はある。客室内の通路が1本の国産狭胴型ジェット旅客機「C919」が完成するまでの間、欧州への依存が数年に渡って高まることになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ロシアがキーウ攻撃1週間停止に同意」、

ワールド

米・メキシコ首脳が電話会談、通商など協議 キューバ

ワールド

米国防長官、2月のNATO会議欠席の見通し=情報筋

ビジネス

米ブラックストーン、10―12月期は増益 M&A活
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    致死率高い「ニパウイルス」、インドで2人感染...東…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中