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ライドシェア

日本攻略が行き詰まったウーバーの新たな方針とは?

2017年12月8日(金)16時40分
森川郁子(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

日本市場はどうか。2012年に進出し、2014年に都内でハイヤーとタクシーの配車サービスを開始したが、現在「ウーバータクシー」は数が非常に少なく"幻"の存在だ。地方では高齢者向けに交通手段を提供する事業を行うが、交通空白地2カ所にとどまる。2016年には、都内や横浜のレストラン1000店舗と提携して始めたデリバリーサービス「ウーバーイーツ」は人気だ。しかし、肝心のライドシェア事業は遅々として普及が進まない。

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東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長は、東京都市部の初乗り運賃を引き下げるなど、サービス向上に力を入れている(撮影:大澤 誠)

雇用維持でタクシー業界が猛反発

2015年にウーバーが福岡県で行った実証実験では、国土交通省から実験中止の指導が出た。2016年には富山県で予定されていたウーバーサービスの開始が、地元タクシー会社の反発により急きょ中止となった。

特に33万人の雇用問題を懸念するタクシー業界からは厳しい反発を受ける。全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の富田昌孝名誉会長は「ライドシェアに対し、一丸となって闘う」と断固反対の方針を示し、与野党の議員連盟や、自治体などへ陳情を繰り返す。全タク連は事前運賃確定や定期制度、相乗りタクシーなど11項目にわたる新事業の目標を設定し、都内でも実証実験を進める。

東京ハイヤー・タクシー協会は川鍋一朗会長の音頭で、東京都市部(23区と武蔵野市、三鷹市)の初乗り運賃を2km=730円から約1km=を410円に引き下げ、割安感を演出。「ちょい乗り」需要を開拓した。

川鍋会長が経営する国内大手の日本交通は、自社のシステム開発子会社Japan TAXIを軸にIT化を加速させている。他社と提携した配車アプリ「全国タクシー」は、400万ダウンロードを達成。川鍋会長は「(ウーバーなどの)ITサービスには見習うべきところがある」と話し、ライドシェア対策に余念がない。

そもそも日本では、ライドシェアサービスは求められているのだろうか。去年、総務省がまとめた調査では、日本人のライドシェア利用意向は2~4割と諸外国に比べて低く、特に20~30代の抵抗感が顕著だ。タクシーを割高な料金を払って使うサービスととらえる人の中には、「他人が乗ってくるのは気が重い」と考える人もいる。

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とはいえ、日本人の利用意向が低い最大の要因は、安価さや利便性が売りのライドシェアを試してみる機会が日本に存在しないことにあるのではないだろうか。

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