最新記事

サウジアラビア

サウジが市場シェア維持・拡大へ、国営会社会長「新規投資続ける」

将来的な原油価格の回復をにらんで投資を継続し、市場シェアを維持、拡大する姿勢を鮮明に

2016年1月26日(火)11時30分

1月25日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのカーリッド・アルファレ会長(写真)は、世界の原油需給は最終的には「適度な」価格で均衡すると述べた。バーレーンで2014年5月撮影(2016年 ロイター/Hamad I Mohammed)

 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのカーリッド・アルファレ会長は25日、原油安への対応でコストカットを進めているが、石油・ガス生産能力への新規投資は継続するとの考えを示した。

 湾岸以外の産油国では投資削減の動きが加速しているが、サウジは将来的な価格回復をにらみ、投資を継続し市場シェアを維持、拡大する姿勢を鮮明にしている。

 会長は、ビジネス会議でのパネルディスカッションにおいて「石油・ガスの生産能力に関する当社の投資は鈍化していない。コストカットを通じて、支出削減を大きく進めることができた」と明らかにした。

 その後、記者団に対し「サウジは最もコストの低い産油国」とし、「われわれには低コスト維持を可能にする規模と能力、そして技術がある」と述べた。

 一部の有力な石油エコノミストは、原油安が長期化し石油輸出国機構(OPEC)の主要産油国が市場シェア維持の方針を貫けば、世界は再び、中東産原油に過度に依存する状況に陥る可能性があると予想している。

 また会長は、世界の原油需給は最終的には「適度な」価格で均衡すると述べた。

 具体的な価格水準には言及しなかったが、遠くない将来にその価格になると述べた。

「需要の拡大はすでに昨年始まっており、それほど遠くない将来に需要が供給に追い付く時がくるだろう」と述べた。

 政府のサウジアラムコ株売却計画については、下流ベンチャーの株式のみを売却するのか、上流の石油・ガス事業を含む本体の株式も売却対象になるのかをめぐって、当局はまだ決定を下していないと述べた。

 本体の株式売却の場合、法律面で解決すべき問題がある、という。

[リヤド/ロンドン 25日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、シリア南部で政府軍攻撃 ドルーズ派保護

ビジネス

独ZEW景気期待指数、7月は52.7へ上昇 予想上

ビジネス

日産が追浜工場の生産終了へ、湘南への委託も 今後の

ビジネス

リオ・ティント、鉄鉱石部門トップのトロット氏がCE
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中