最新記事

ニュースデータ

日本の学生のパソコンスキルは、先進国で最低レベル

2015年9月9日(水)18時35分
舞田敏彦(教育社会学者)

 では日本の若者のパソコンスキルは、国際的にみてどれ程の水準にあるのか。15歳の生徒のうち、表計算ソフトでグラフを作れる者、パワーポイント等でプレゼン資料を作れる者の割合を他国と比べてみよう。<図1>は横軸に前者、縦軸の後者をとった座標上に45か国を配置したグラフだ。米英仏はこの調査に回答せず、データがないため入っていない。

maita150909-chart2.png

 日本は両方とも3割程度で、調査対象国中で最低のレベルだ。これはあくまで自己評定の結果なので、日本の生徒の多くが謙虚な回答をしたのかもしれない。しかしパソコンを所持している割合が少ないことを考えると、そればかりでもなさそうだ。右上のヨーロッパ諸国は、「自宅にパソコンがあり、自分もそれを使う」割合が高い。この2つのスキルは、パソコンに触れる頻度との相関性が高い。

 日本の若者のパソコンスキルは他国と比較すると驚く程低い。それはコンピューターを使う必要に迫られていないからだろう。パソコンの所持率は低く、基本的なスキルが身に着いていない。

 こうして見ると、日本の学校の情報教育は立ち遅れていると言わざるを得ない。中等教育の現場で、コンピューターを使う頻度を増やし、提出物のやり取りをインターネットで行うなど、情報化社会の現実を体験させる必要がある。現実社会と同様、教育もまた情報化しなければならないはずだ。

≪資料:内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)
 OECD『PISA 2009』

<筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」、近著に『教育の使命と実態 データから見た教育社会学試論』(武蔵野大学出版会)。>

≪この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BMW、第2四半期販売は小幅増 中国不振を欧州がカ

ワールド

ロシアに関する重要声明、14日に発表とトランプ米大

ワールド

ルビオ長官、11日にマレーシアで中国外相と会談へ 

ワールド

UAE、産油能力を一段と拡大する可能性も=エネルギ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中