最新記事

フード

スマートフォンはレストランの敵?

2014年8月26日(火)16時13分
アリソン・グリズウォルド

「明らかにデマだろう」と、レストラン業界に10年以上従事した外食産業ライターのルーク・オニールは言う。「意見を主張するためのでっち上げだ」

 ここ数年、スマホはレストラン業界にとって、間違いなく激論必至の際どい話題になっている。携帯で写真を撮ったりSNSに掲載することが食事の時間を台無しにすると声高に非難するシェフもいれば、テーブルで携帯の使用を禁止する店もある。だが、携帯の使用は本当にレストランのサービスの支障となっているのだろうか。

「そう感じたことはない」と、マンハッタンのチェルシー地区のレストラン「タオ・ダウンタウン」の総支配人パトリック・デュクスベリーは言う。「当店には一晩に600〜800人以上の客が訪れる。スマホに邪魔をされているのだとしたらこんな人数は接客できないはずだ」

 お祝いやバースデーのディナーでよく使われるため、タオの店内では写真撮影をする客も多いが、それは店にとって決して悪いことではないとデュクスベリーは言う。「写真がSNSにアップされ、多くの人の目に触れる」からだ。

「接客の妨げにならない」

 そう思うのは彼だけではない。マンハッタンのミッドタウンイースト(クレイグズリストの投稿者と同じ地区だ)の店「イーソス」のオーナー、ジョン・カペタノスによれば、ウエーターにグループ写真の撮影を頼むのは客の1割ほど。1分もかからないから喜んで手を貸すし、接客の妨げにもならないという。

 イーソス開業から12年以上。昔と比べてスマホが1テーブル当たりの平均食事時間をおそらく5〜10分長くしているが、こうした客が他の客に迷惑でも掛けない限り気にならないとカペタノスは言う。

 ミッドタウンのフレンチレストランでウエーターとして働くジャンマルテは、スマホはかえって役に立っているという。メニューを読めない外国人観光客が口コミサイトを見ながら、「これが欲しい」と指さすこともできるからだ。

 シカゴのリサーチ会社テクノミックは2012年、レストランの客がどれほど携帯を利用しているかを調査した。約30%が食べ物の写真を撮影すると回答し、9%は携帯で支払いをすると答えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

バリューアクト、セブン&アイ取締役候補者に賛成票投

ビジネス

欧州は中国から産業利益守るべき=仏財務相

ビジネス

追加利上げ、今年中に「ないともあるとも言えない」=

ビジネス

日経平均は4日ぶり反発、米株先物の底堅さが支援 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中