最新記事

テクノロジー

アップルには巨額買収は必要ない

フェイスブックのワッツアップ買収で、アップルも巨額買収をすべきとの声が上がっているが、それは間違いだ

2014年2月26日(水)15時49分
マシュー・イグレシアス

独自路線 アップルは買収せずとも最高の商品をもっと提供できる(写真はiPhone5s) Toru Hanai-Reuters

 グーグルとフェイスブックが最近、相次いで巨額買収をしたことで、アップルも同じようにするべきだという声が強まっている。慎重になり過ぎて潤沢な手元資金を遊ばせておくよりも、派手な買収でもしたほうが有効活用できる、と。

 この考えに懐疑的なジャーナリストのジョン・グル―バーは正しい。自らの企業文化に背いたときに限って、企業は間違いを犯す傾向がある。アップルは、本質的に企業買収で成長するような会社ではない。アップルも買収はするが、規模は控え目でアップル製品に特定の技術を組み入れることを目的にしている。

 それに対し、写真共有アプリ「インスタグラム」や、スマホ向けアプリ「whatsApp(ワッツアップ)」を買収したフェイスブックは、大規模で有名な企業を買収するが、基本的に先を見据えて抱え込むだけというのは、アップルのやり方ではないし、それを変えようとするのは意味がない。

 だが同時に、アップルが保有する莫大な現金は、機動的経営のための備えというよりも、経営の支障になっているのではないか。さらに現金を積み増すことは、長期的に会社のためになる方法とは思えない。

価格設定を下げるべき

 ならば価格を下げればいいのではないのか?

 アップル製の携帯電話iPhoneの主要機種(現行はiPhone5)が、高価格と高い利益率を維持しているのは十分理解できる。現在の価格でも世界で最も人気あるスマートフォンであり、需要が最高潮の際には、それに見合う生産にいつも苦労するほどだ。高価格と高い利益率はいいことだ。

 だがPCについてはどうか。PC市場は現在縮小しているが、急激にではないし、、アップルはPC市場全体で見るとシェアはかなり小さいので、価格を下げることで売り上げを伸ばすことは簡単だろう。同様に、Thunderboltディスプレイは素晴らしい装備だが、現在の価格では買う人は誰もいない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米サウスウエスト航空、通期EBIT見通しを下方修正

ワールド

アフリカのコンゴとルワンダ、トランプ氏仲介の和平合

ビジネス

テスラ、欧州で低価格版「モデル3」を発売

ワールド

フィッチ、ハンガリー格付け見通し引き下げ 総選挙控
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中