最新記事

欧州債務危機

市場が恐れるフランスの「ギリシャ化」

2012年1月16日(月)15時50分
クリー・コールカット

緊縮財政策はただの時間稼ぎ?

 投資家たちをなだめようと、サルコジ政権は2つの財政緊縮策に踏み切った。しかしOECD(経済協力開発機構)によれば、国家債務がほぼ2兆ドル相当に上るにもかかわらず、緊縮策による節減額は2012年末まででわずか257億ドルにすぎないという。

 飲食店への付加価値税引き上げ、たばこと清涼飲料への課税を柱とする緊縮財政策には、投資家を納得させられるだけのビジョンと規模が欠けている。

「フランスにはトリプルAを守るための長期戦略がある、と思わせるだけの迫力がない」とナティクシス銀行のシルバン・ブルワイエは言う。「今回の緊縮策は経済成長に悪影響を与えることはないだろうが、時間稼ぎにすぎない」

 フランスは現在の危機を、経済成長の鈍化や若者の失業、格差拡大などの問題を解決するチャンスに変えることが可能だとみる向きもある。フランスは自国の経済モデルが活力を失いつつあることを認識しており、エコノミストらはスウェーデンやドイツの成功例を参考にしようとしている。

 国家格付けに詳しいコンサルタントのノルベール・ガイヤールは、スウェーデンは90年代に何度か格付けを引き下げられた後、福祉制度の改革に成功したと指摘する。

 とはいえ、フランスの政治家たちはまだ「改革のチャンス」をつかめていない。

「政党や(来年の)大統領選の候補たちはまだ、いま起こっている変化を受け止め切れていない」とガイヤールは言う。「彼らは投資家の心理がいかに変わりやすいかを理解していない。彼らが状況を把握するのは、まだ先のことだろう」

 しかし、持続可能なシステムをつくるチャンスは「いま」目の前にある。後になってチャンスをつかもうとしても、もう手遅れかもしれない。

GlobalPost.com特約

[2011年12月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

南アランド、22年以来の高値 一時1ドル=16ラン

ビジネス

欧州委、XのAI「Grok」を調査 性的画像生成巡

ワールド

訂正-中国、制服組トップら軍高官2人を重大な規律違

ビジネス

独貯蓄銀行協会、26年GDPを1%増と予測
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中