最新記事

投資

中国経済崩壊、2つの兆候

不透明な銀行取引の膨張と人民元下落という「逆張り」に出始めた投資家の動きに注目

2011年6月23日(木)16時52分
デービッド・ケース

闇金が跋扈 膨張する「影の銀行」市場は中国版サブプライムかも(上海ワールドフィナンシャルセンター) Reuters

 中国経済が崩壊するなんて想像できない。強大な輸出力、世界最大の労働市場、3兆円の外貨準備に支えられた経済は、特に最近の指標からすれば、とても脆弱とは思えない。

 それでも、中国経済には少なくとも2つの重大な弱点がある。意思決定の過程が不透明で、その多くが経済よりも政治主導で行われることだ。だから中国で実際に何が起きているのかを知るのは難しい。それでも、多くの混乱の兆しは見て取れる。

 中国の銀行システムは1兆ドル規模の「潜り」の貸し出しに足元を揺るがされている。帳簿外の取引や、銀行ではないのに表向きは銀行のように振る舞い、実際は大きなリスクを取っている金融機関、そして高利貸しなどが跋扈している。これら融資の一部は必要な人に渡っているが、残りは政府に隠れて金を儲けたい人々に利用されている。その大半は、ありえない儲け話に踊らされた金持ちや企業だ。

 借り手に関するデータがほとんどないので、これが中国版「サブプライム問題」になるかどうかは分からない。ただし、米格付け会社フィッチ・レーティングスはこの状況を不安視。4月には、人民元建て長期発行体デフォルト格付け(「AAマイナス」)の見通しを、「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。同社は非公式の融資の存在や、企業・家庭への融資が昨年大幅に増加したことに懸念を表明。「不良債権が融資全体の15〜30%に増加する可能性がある」とも警告した。

中国元の下落に賭ける理由は

 ウォール街や主流派投資家は、人民元高が続くという強気の姿勢でいる。しかし6月22日付けウォールストリート・ジャーナル紙が報じたところでは、いくつかのヘッジファンドは中国経済全体を見据えてその反対に賭けている。「逆張りの投資家が、人民元が下落すれば大きな利益を生む取引で注目を浴びている」。サブプライム危機の時も、危機を予測して大儲けしたのは小規模で型破りのファンドだったと、同紙は指摘する。もちろん、今回も彼らの動きが正しいとは限らないが。

 逆張り投資をする根拠は何か。「経済はバブルが弾ける寸前だ。不動産価格が下落すれば、たちまち不良債権の山をかかえることになる」と、アメリカの投資家たちは語っている。

 またこの記事によれば、仮に人民元が30%下落すれば、1万5000ドルの投資が85万ドルの利益を生むと解説している。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「今夜文明滅びる恐れ」、イラン交渉期限迫

ビジネス

米耐久財コア受注、2月は0.6%増 中東紛争で先行

ワールド

イラン、サウジ・ジュベイルの石化コンビナート攻撃 

ワールド

トルコのイスラエル総領事館前で白昼の銃撃戦、犯人1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 4
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 5
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 8
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 9
    「人間の本性」を見た裁判官が語った、自らの「毒親…
  • 10
    スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のア…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中