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世界経済

スタグフレーションがやってくる

2011年2月17日(木)12時59分
ジョセフ・スティグリッツ(米コロンビア大学教授、ノーベル賞経済学者)

途上国だけでは力不足

 公平のために言えば、事態が好転する可能性がないわけではない。アジアの劇的な高成長は中南米とアフリカの景気を牽引している。途上国の大半は、欧米の景気が弱くてもそこそこ成長できるだけ強くなっている。

 だが残念なことに、これらの国々だけでは世界経済の成長を引っ張るにはまだ力不足だ。欧米で不足している景気対策分を補うには、まだ経済が小さ過ぎるのだ。オバマ米政権の追加景気対策の給与税減税は、景気刺激の足しにはなるだろう。だがこれは1年限りで、長期的な波及効果を及ぼすには短過ぎる。

 すべての希望が失われたわけではない。潤沢な資金を蓄えた大企業は、今の状況をチャンスとみるかもしれない。各国のリーダーは経済成長への自信を取り戻すため、財政赤字の解消やこれまでの政治経済の欠点を正すと訴えるだろう。経営者が楽観的になれば、手持ちの現金を投資に回すかもしれない。

 何だって可能だ。だが私はかなり険しい道になると思う。

[2011年2月 2日号掲載]

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