最新記事

ハイテク

iPadになりたくない新型キンドル

新型キンドルはカラー画面で音楽も映画も……ではないが、がっかりする必要はない

2010年7月30日(金)15時29分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

どこが期待はずれ? Wi-Fi接続のみのキンドルは139ドル。99ドルの世界はすぐそこかも Amazon.com-Reuters

 アマゾンは7月28日、電子書籍端末「キンドル」の新型モデル2機種(8月27日発売)を発表した。新型キンドルは画面がカラーになり音楽や映画も楽しめる、つまりアップルのiPadのような商品になると期待していた人々を見事に裏切る内容だった。

 しかし、「裏切られた」と思う人がいたら非常に残念だ。相変わらずの白黒画面で、本や新聞を読むためだけにしか使えないとはいえ、新型キンドルは非常に洗練度が上がっている。

 現行型から価格を据え置いた189ドル(約1万6300円)の機種は、バッテリー駆動時間とデータ容量が従来型の2倍になった。1回の充電で最長1カ月(無線不使用)使用可能で、本3500冊分のデータを保存できる。Wi-Fi(無線LAN)接続機能が加わり、コントラストが向上して文字が読みやすくなったりと画面も改良されている。ページ送りも20%高速化した。

 重さは現行の10オンス(約284グラム)から8.7オンス(約247グラム)へとわずかだが軽量化が進んだ。画面の大きさは変わらないが、キーボードのサイズを圧縮したため本体自体は小さくなった。本体の色も白のほか、アマゾンが「グラファイト(黒鉛)」と呼ぶ黒っぽいモデルもお目見えした。

99ドルという夢の価格が実現するか

 さらに注目すべきなのは、従来の3G接続機能を省いてWi-Fiだけを搭載した機種を139ドル(約1万2000円)というお値打ち価格で発表したことだ。

 こちらは3G搭載モデルと違っていつでもどこでも本をダウンロードできるわけではなく、Wi-Fi接続ポイントにいる必要がある。だが学生や、頻繁に旅行をしない人にとってはこれで十分だろう。アマゾンが、99ドルという夢の価格に向かう一歩を踏み出せたともいえる。99ドルが実現すれば販売急増の突破口になる、と専門家は見ている。

 現在でもキンドルの売り上げは上々で、アマゾンで最も売れている商品だという。では、キンドルはiPadの強力なライバルとなるのか? いや、そんなことは期待しないほうがいい。アマゾンの広報担当者が言うように、アマゾンはタブレット型端末を作ろうとは思っていないのだから。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米株安と円高一服が綱引き 決

ワールド

戦後80年メッセージで戦争起こさない仕組み考えたい

ワールド

赤沢氏、日本にもプラスなら投資と説明 トランプ氏「

ワールド

米厚生省、mRNAワクチン開発を段階的に終了へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 8
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 9
    永久欠番「51」ユニフォーム姿のファンたちが...「野…
  • 10
    かえって体調・メンタルが悪くなる人も...「休職の前…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 5
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 6
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 7
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 8
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中