最新記事

インターネット

ツイッター広告参入で開けた巨人への道

企業向け広告サービスは上々の滑り出し。次は個人向けマイクロ広告サービスで決まり!

2010年4月14日(水)17時37分
ニック・サマーズ

つぶやき広告 ツイッターの新サービスを利用したスタバの広告。さほど邪魔にならないとユーザーからも好評

 ツイッターは3月14日、遂にネット広告事業に参入した。キーワード検索をかけると関連する広告が表示される「プロモーテッド・ツイート(つぶやき広告)」という新サービスだ。

 まだ始まったばかりだが、ユーザーからの反応もひとまず上々。お金を取る広告だから目立たせなければならないが、目障りでは困る。スパムのように大量に送りつけるのもまずい。ツイッターは、うまくそのバランスを取ることに成功した。

 広告主は、スターバックス、家電量販店ベスト・バイ、ソニー・ピクチャーズ、ヴァージンアメリカ航空など大企業ぞろい。だが、ツイッターはすぐに気づくだろう。クライアントとして有望なのは大企業だけではない。膨大な数の個人ユーザーもいる。

 そもそも「つぶやき広告」が始まったのは、以前からツイッターを販促や広報に使ってきた企業が、せっかくつぶやきを投稿してもすぐに押し流されてしまうことを心配したから。何しろツイッターでは1日の投稿件数が5000万件を突破してなお増加中。大洪水のような有り様なのだ。

個人ユーザーも潜在クライアント

 だが、自分のメッセージを目立たせたいのは個人ユーザーも同じ。たとえばスターバックスは、「コーヒー」というキーワードで検索した人全員に「今日はフラペチーノが無料!」というつぶやきが表示されるサービスに100万ドルの広告料を支払うかもしれない。だが、自分のつぶやきを売り込めるなら1人につき1ドルの広告料を払うという個人ユーザーも100万人はいるかもしれない。

 多くの、いや大半のつぶやきはその場かぎりのものだが、金曜夜のライブ情報を告知するアマチュアバンドやトーク番組への出演予定を宣伝する作家のつぶやきは、決して見逃されたくない性質のもの。ただしお金をかけて大々的に宣伝するほどのことでもない。

 そこでもしツイッターが、特定のつぶやきを少しだけ他より目立つようにするサービスを低料金で提供すれば、会社は大儲けできるだろうし、ユーザーにとっても極めて価値のあるサービスになるはずだ。

 ツイッターのライバル、タンブラーなども考えつきそうだ。自分の投稿をちょっとだけ「くっつきやすく」して、フォロワーのページの上のほうにしばし表示されるようにしてもらうサービスが1ドル、フォロワーのフォロワーまで投稿を届けてもらうサービスなら2ドル......。そうなれば、ほんのおやつ代で自分のメッセージが埋もれるのを避けられる。

儲かる術がないと笑われてきたが

 ネットユーザーは、オンラインの支払いにも慣れてきている。以前は無料が常識だった音楽のダウンロードも、アップルのiTunesのおかげで1曲1ドル払うのが当たり前になった。「ファームビル」や「マフィア・ウォーズ」のようなゲームでは、コンテンツを追加するための少額の電子決済マイクロペイメントが大人気だ。フェースブックが扱う1つ1ドルのバラや香水、といった仮想ギフトの売り上げは今年10億ドルにも達する勢い。ツイッターもその気になれば、一夜にしてこの数十億ドル市場のプレーヤーになれる。

 それもスターバックスなどの優良企業から転がり込む大口広告の上に、だ。ツイッターは長いこと、利益の上がるビジネスモデルが描けないことで物笑いの種にされてきた(辛口コメディアンのスティーブン・コルベールはこう皮肉った。「ツイッターの創業者ビズ・ストーンのビズには、あいにく『ビジネス』の意味はないようだ」)。

 だが、ネット広告の世界へ慎重に踏み出した第1歩が好評を博した今、ツイッターが業界の巨人に成長する可能性も見えてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 6
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中