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アップルvsグーグル、覇権懸けて激突

2010年1月18日(月)16時34分
バレット・シェリダン(本誌記者)

 1月5日、グーグルの新型携帯「ネクサス・ワン」が発売され話題を呼んだが、その陰でもう1つ注目すべきニュースがあった。アップルがモバイル広告のクアトロ・ワイヤレス社を買収したのだ。

 今回の買収で、テクノロジー関連企業で注目すべきなのはもはやグーグルとアップルの2社だけ、そしてこの両社の違いが曖昧になりつつあることが明らかになった。

 かつては、アップルがハードウエアとデスクトップ用ソフトウエアを開発する一方で、グーグルはウェブサイト用アプリケーションと広告分野に特化していた。だがこの1年間は、グーグルがアップルの縄張りに乱入している。

 グーグルは携帯電話向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」や音声通信サービス「グーグル・ボイス」を提供。そしてネクサス・ワンの発売で、スマートフォン(高機能携帯端末)市場を独占するアップルの対抗馬として名乗りを上げた。

 アップルも黙ってはいない。クアトロを買収して広告業界に進出したということは、グーグルにモバイル広告市場を明け渡すつもりはないという意思表示だ。

マイクロソフトは蚊帳の外

 グーグルは昨年11月、モバイル広告ではクアトロ社より大手のアドモブ社を買収している。だがアップルには、モバイル広告の巨大市場を抱えるiPhoneのアプリケーションを生み出してきた数千人の開発者が付いている。

 この戦いで、マイクロソフトは蚊帳の外だ。同社は今後もデスクトップ用のOSと総合ビジネスソフトでは市場を独占し続けるだろう。だが5年後には、ウェブにアクセスするときに使うのはスマートフォンやタブレット型パソコンが主流になりそうだ。

 マイクロソフト対グーグルの競争は、もはや前座のようなもの。今後10年の本当の勝負は、アップル対グーグルで間違いない。

[2010年1月20日号掲載]

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