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人民元切り上げ、期待し過ぎは禁物

米中首脳会談を前に再切り上げを示唆した中国政府の本気度

2009年11月18日(水)15時13分
ラーナ・フォルーハー(ビジネス担当)

G2の攻防  17日のバラク・オバマ米大統領と胡錦濤国家主席の会談には、株式市場も熱い視線を注いだ Jason Lee-Reuters

 中国人民銀行は11月11日、15日のオバマ米大統領の訪問を前に、通貨政策をめぐる報告書を発表し、投資家たちを驚かせた。中国政府はグローバル経済における同国の重要性が増していることを考慮し、人民元を再び切り上げるかもしれないという内容だったのだ。

 驚いたことに今回の報告書では、人民元を「合理的かつ均衡の取れた水準で安定的」に維持するという言葉が消えていた。これは従来よく使われた表現だ。

 中国が強い輸出競争力を保っていられるのは、比較的低い人民元の為替レートのおかげでもある。同時に、安い人民元は米中間の貿易収支の大きな不均衡を招く要因にもなった。

 とはいえ、オバマ政権は近い将来に大きな変化が起こるとは思わないほうがいいと、エコノミストたちはみている。「切り上げたとしてもほんの僅かだろう」と、モルガン・スタンレー・アジアのスティーブン・ローチ会長は言う。中国経済の回復がまだ確かではないことがその理由だ。

 中国政府は昨年の経済危機で輸出が落ち込んでから、人民元を緩やかに上昇させる操作を一時停止している。しかし堅実な経済成長がこのまま続けば、再開する可能性は十分ある。

 来年もし人民元が再びじわじわと値上がりし始めたら、中国が輸出依存から脱却できると確信した合図だろう。自国経済の回復が本物で、そのまま維持できると考えている証しともいえる。

[2009年11月25日号掲載]

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